十二匹目 ページ12
困惑しているAを他所に無陀野は続ける。
「学校といっても普通じゃない。羅刹学園は桃に対抗する為の訓練をメインとする。言わば対桃太郎機関専用の軍隊学校だな」
いつの間にか無陀野の横にある白板に、達筆、とも言えない字が話と共に綴られる。
「まだ話してなかった気がするが鬼と桃は特殊な力が使える。鬼は自身の血を駆使して戦う。そして桃も細菌という力で戦う」
鬼は自身の血を駆使して戦う……!?なら鬼であるAは戦える術を持っているということだ。問題はその使い方だが、直ぐに無陀野が答えを言った。
「羅刹学園では鬼の血の使い方及び操り方、戦闘術は勿論のこと。一般教養から桃と鬼の歴史を学ぶ」
「なら!そこに行って学べば俺が奴に対抗出来る力を持てるんですね!?!?」
「黙れ。話を聞け」
耐え切れず質問したAは一蹴され、静かに無陀野の話に耳を傾けた。
「そしてお前は今、羅刹学園へ入学するに値するかの審査を受けている」
今まで言い渡されてきた点数がどれほど重要なのか。理解した途端Aの心臓が跳ねた。
その学園に入れなければ血の使い方を知れずにAは非力なままだ。戦うことが出来ない。
無陀野の話を遮って質問したことをこれほど後悔した事はなかった。
「本当はこの情報は入学した奴にしか言わない」
「え、それって」
「いや、お前まだ現時点では入学してない、だがお前が冷静に暴走を止めた所や変に反抗しない所で、"使えるやつ"に俺が認定したから伝えている。まあこれだけ知ったんだから審査に死ぬ気で受かれ」
情報過多で脳がキャパオーバーしそうだがとりあえずその審査には死ぬ気で受からねば。
Aは無陀野から言われた言葉を噛み締める。
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作者名:あもす | 作成日時:2022年12月26日 2時