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遊真はそのとき、得体の知れない恐怖を感じた。
目の前でにこにこ笑っている彼女から感じる恐怖。
それは、
脳の奥底に眠っていた部分を刺激するような、
本能から関わってはダメだと訴えられているような、
ものだった。
ようたろうはもちろん、
さっきまでヘラヘラしていた米屋も、
遊真を睨みつけて威嚇していた三輪でさえ、
彼女の殺気に冷や汗をかいていた。
「 おい、A。無意識に
「 あ、ごめんごめん。」
三輪にそう言われ、
ケロッとした顔で返事をした彼女からは、
もう先程のような恐怖は感じなかった。
「 おい、白ちび、ひとつだけ教えておく。」
米屋は真剣な顔で遊真を見た。
「 Aだけは怒らせるな。あと、Aが怒ったら全力で逃げろ。間違っても止めようなんて思うな。」
あいつを止めることが出来るのは、
それだけ言って不自然に言葉を止めた米屋を遊真は見上げた。
あの人だけだ。
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作者名:おべ | 作成日時:2019年10月6日 10時