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つい最近まで、吐く息が白かったのに、
気付けばコートも薄手になっていた。
桜並木を眺めながらバスを待つ。
大学二年生。この町に来て二度目の春だ。
「A!!おはよ」
「あ、ソクミン!おはよ」
急いできたのか、彼の髪は乱れていた。
彼は同じ大学で、私の友人だ。
「髪、凄いことなってるよ」
「え、嘘。バス間に合わないと思って走ったからなぁ」
あちゃーと言わんばかりの顔で、はねた髪の毛を手で抑える。
「んー、ちょっとかがんで、直すから」
「ん、これくらい?」
むかつくが彼は背が高い。
まぁ、大学で王子と騒がれている、ウォヌくんとミンギュくんにはかなわないだろうけど。
私の目の前に来た頭にそっと触れる。
彼の髪を指で梳いて、はねを落ち着かせてあげる。
うん、大分いいかな。
「いいよ」
「ありがとう、A」
彼はきっと、その笑顔で何人もの女の子を落としてきたのだろう。
それくらい、彼の笑顔はまぶしい。
まぁ、私がソクミンに恋に落ちることはないんだけれども。
春の暖かい風と共にやって来たバスに私たちは乗り込む。
「ほんと、バスが今日遅れてくれてよかった」
「遅れてなかったらソクミン、講義間に合わなかったね」
この時間帯のバスは人が多いが、
今日は奇跡的に席が空いていたので座ってゆっくりする。
バスに揺られながら、窓の外を眺めた。
あれ、あそこに空き缶が捨てられている。
悪いなぁ。
少し歩けばコンビニのはずだから、そこで捨てればいいのに。
え、今……。なんで?
私の見間違い?
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作者名:雑食系・歩坂 | 作成日時:2017年11月26日 16時