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帰り道に平手打ちしたことを謝ると、三途さんは意外にもあっさりと気にしてねぇ。と返してくれた。
それから三途さんは私の目の前に現れなくなった____
が、普通だと思う。
私に叩かれた事を謝罪されて、もう私に会う意味なんてものは無くなったはずなのに
三途さんは、毎日と言っていいほど私の終業時間になると決まって会社の前で面倒くさそうに立っていた。
「よ」
「三途さん…今日もいらっしゃるんですね」
「嫌なわけ」
「……嫌なら走って帰ってますよ?」
「素直に嬉しいって言えや」
蘭くんに言っても良かったのだけど、三途さんは特に私に怖いことをしたいとかそういう感情はなさそうで
本当にただ、少し会話をして家の近くまで送って帰るだけだったから
もし言ったらきっと蘭くんも竜胆くんも、秘密にしていた私を責めずに三途さんを責めてしまいそうで
一緒に帰える回数が増える毎にどんどん言いづらい状況になってしまっている。
「なぁ、A」
「はい…?」
最近では三途さんが私の名前を呼ぶようになっている。
最初はお前、アンタの二択だったのに、気づいた時には自然に名前を呼ばれていた。
男の子に名前を呼ばれるなんてもしかしたら初めてなのではないかと思うくらいに、兄以外から名前を呼ばれた経験がなく
女子男子共に"灰谷さん"の固定の呼び名だった私にとって
三途さんに名前を呼ばれるのは何だか擽ったい気持ちになる。
「Aと俺、タメ」
「え?」
「理解遅せぇ、同い年だっつってんの」
「えっ、と…?」
同い歳に見えないと言ったら、目の前の彼は怒るだろうか。
多分、怒る気がする。上に見えると言ったら老けてるってことか?って怒りそうだし、下に見えると言ったらガキクセぇってことか?って怒ってしまう未来が見える。
……あ、少しだけ、竜胆くんに似ているかも。
そう思いながら少し笑ってしまうと、何楽しそうに笑ってんだよと低い声が聞こえて
気づいた時には三途さんの綺麗な指で私の顎をクイッと持ち上げて私を見つめる。
乱暴に、じゃなくて、優しく私に触れてくれる三途さん。
「俺と居んのに、俺以外の事考えるならAも俺のスクラップにすんぞ」
三途さん、私変です。
三途さんにスクラップにすると言われると怖くて怖くて背筋が凍っていたんです。
でも、今はどうしてなんでしょうか
しないって分かってるからでしょうか?
「チッ、ビビれや面白くねぇ」
それとも拗ねてしまった三途さんを少し可愛いと思っているからですか?
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マニ。(プロフ) - もむさん» ✉️。この作品凄く面白いです! (1月14日 11時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - じろにゃん★さん» ありがとうございますー!!!頑張りますね!これからもよろしくお願いします!! (1月10日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - うさこさん» あぁぁぁぁぁ……!ありがとうございます!!そんな!嬉しすぎる……!本当にありがとうございます!お返事遅くなってしまいすみませんでした……!!!続き頑張ります!!これからもよろしくお願いします!!! (1月10日 21時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
じろにゃん★ - 続きを楽しみにしてます! (1月8日 16時) (レス) id: 2ad09e2f31 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ - 完璧すぎる…(;;)続き待ってます(´;ω;`)!! (1月5日 22時) (レス) @page48 id: d68f8df98a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もむ | 作成日時:2023年10月24日 13時