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と、思ったのも束の間。
我が家には私と竜胆くんしかいません。
「Aー♡」
「竜胆くん、お料理中はだめだよ?怪我しちゃう」
「んー、やだ。Aと最近一緒に居れてないし、A不足。俺様」
この状況にデジャヴを感じるけれど、次男、竜胆くんと同じ時間を過ごすのはとても久しく感じる。
こんな風に抱きつかれたのはいつぶりだろうか。
何となく、竜胆くんと余所余所しいと言えばいいのか変な距離ができていたのは事実だ。
「つーか、A。俺のお嫁さんにならね?」
「兄妹はダメなんだよ?」
「んー、じゃ、俺が籍抜ける?」
「竜胆くんと兄妹じゃなくなるの、悲しい」
「わ、じょ、冗談!ごめんな、A」
でも、アイツに渡すくらいならと小さな声で呟いたのを私は聞き逃さなかった。
きっと、蘭くんから伝わってしまっているのだ。
私が春千夜さんに恋していることを。
私のこの恋が成就するとも限らないのに、心配してくれるところは相当溺愛してもらっていると実感する。
「ねぇ、竜胆くん」
「んー」
「蘭くんがね、表の人間じゃないって言ってたの。2人はなんのお仕事をしているのか、そろそろ教えてくれたりする?」
「無理。そこには関わって欲しくねぇし」
竜胆くんの優しく抱きしめてくれていた手が少し強くなる。
何となく気付いてはいても、ぼかして言われて少し気になってしまっても
私は竜胆くんの優しい秘密を無理矢理聞くことが出来なかった。
「…蘭くんと春千夜さん、今日は帰ってくるかな?」
「Aー、もうダメ。禁止」
コンロの火を止めると、私の身体をグルっと回転させて竜胆くんの方に向かされて、竜胆くんは私の首元に頭を埋めた。
擽ったいよと伝えても、離れる気がないのと、私を逃がす気がないのか私の背中に手を回して動けなくする。
「なぁ、今目の前にいるの誰?」
「竜胆…くん」
「わかってんじゃん。他の野郎の名前なんて聞きたくねぇって」
ふわふわな竜胆くんの髪の毛を軽くなでると
竜胆くんは少し泣いてて、それに対して私が驚いた顔をすると
「今日は竜胆お兄ちゃんが!Aを独り占めなんだよ!!」
そう言って拗ねてしまった。
やっぱり竜胆くんと春千夜さんは似ている。
子供っぽく怒ったり、拗ねたりするのに、大人っぽい一面をふとした瞬間に見せてくるところとかが、本当に似てる。
きっとこれを聞いた2人は解せないとまた喧嘩をしてしまうのだろう。
竜胆くんに独り占めだと言われた傍から私は、春千夜さんで頭が埋め尽くされてしまっている。
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マニ。(プロフ) - もむさん» ✉️。この作品凄く面白いです! (1月14日 11時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - じろにゃん★さん» ありがとうございますー!!!頑張りますね!これからもよろしくお願いします!! (1月10日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - うさこさん» あぁぁぁぁぁ……!ありがとうございます!!そんな!嬉しすぎる……!本当にありがとうございます!お返事遅くなってしまいすみませんでした……!!!続き頑張ります!!これからもよろしくお願いします!!! (1月10日 21時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
じろにゃん★ - 続きを楽しみにしてます! (1月8日 16時) (レス) id: 2ad09e2f31 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ - 完璧すぎる…(;;)続き待ってます(´;ω;`)!! (1月5日 22時) (レス) @page48 id: d68f8df98a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もむ | 作成日時:2023年10月24日 13時