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「蘭くん……」
「ん?どした?」
マイキーさんが何者かも分からず、あの後春千夜さんが帰ってくることは無かった。
今頃、マイキーという名の美少女と一緒に過ごしているのかと思うと
心が締め付けられるように苦しくて、勝手に涙が込み上げてきてしまう。
マイキーさんという人がいるのなら、あんなに愛おしそうな表情をする人がいるのに、どんな気持ちで私に関わっていたのか
触れて優しくしていたのか、本人に問い質したくてもできないのが現状である。
だから私は、竜胆くんが出かけた隙を狙って蘭くんに相談することにした。
「Aおいで?蘭ちゃんがよしよししてやるからなー」
いつもなら大丈夫だと伝えてそのまま話し始める私が
フラッと足を進めて蘭くんにもたれるように頭を胸の辺りに当てると
そんな様子に驚いたのかそれは分からない。
妹が久々に懐いてきてくれたと思っているのかも、分からない。
だけど、何も言わず私を抱きしめると、兄は私の頭を撫でてくれたのであった。
「……マイキーさんって、知ってる?」
「んー、なんでその名前知ってんの?」
「…春千夜さんが電話で____」
全てを包み隠さず言うと、兄は話を理解してくれたのか沢山私の頭を撫でる
なるほどと言いながら。
「マイキーは男だよ」
「え…?」
兄が言うにはマイキーさん、というのは春千夜さんの上司らしい。
春千夜さんが心酔してやまない人で、マイキーさんの言うことは100%聞くらしい。
そんな人がいるなんて知らなかったと落胆していると同時に
マイキーさんが、外国人美少女では無いことが知れて少しだけ安心して力が抜けてしまった。
「っと……!…なぁ、Aー?」
「どうしたの?」
「お兄ちゃん、Aが好きになっちゃった人オススメしたくないんだけど」
「…蘭、くん……」
困ったような顔をする蘭くんに、私はなんと声を掛けたらいいのか分からなかった。
兄が私をずっと見ているというのは伊達じゃないということを思い知らされる。
兄は私の気持ちを分かっているのだ。
私が彼に初めて抱いている感情を向けていることに。
「……俺らもアイツも、表側の人間じゃねぇ。悪いことも沢山してる」
「うん……」
「俺らが、Aが可愛くて仕方ねぇのわかるか?」
そう言って私の頭を撫でる蘭くんは変わらず困った顔をしていた。
兄はきっと葛藤している
私の気持ちを尊重してあげたい気持ちと、止めたい気持ちを。
私に危険が及ぶから引き返すなら今だと心配してくれている
それでも私は____引き返したくないほど彼のことが好きなの。
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マニ。(プロフ) - もむさん» ✉️。この作品凄く面白いです! (1月14日 11時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - じろにゃん★さん» ありがとうございますー!!!頑張りますね!これからもよろしくお願いします!! (1月10日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - うさこさん» あぁぁぁぁぁ……!ありがとうございます!!そんな!嬉しすぎる……!本当にありがとうございます!お返事遅くなってしまいすみませんでした……!!!続き頑張ります!!これからもよろしくお願いします!!! (1月10日 21時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
じろにゃん★ - 続きを楽しみにしてます! (1月8日 16時) (レス) id: 2ad09e2f31 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ - 完璧すぎる…(;;)続き待ってます(´;ω;`)!! (1月5日 22時) (レス) @page48 id: d68f8df98a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もむ | 作成日時:2023年10月24日 13時