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「ほら、Aー?ウォータースライダー」
「ら、蘭くん?」
「んー?」
蘭くんはあからさまに私から春千夜さんを遠ざけようとしている。
今までの経験則からこれを理解するのに時間は長くかからない。
何故なら、この状況ののデジャブを幾度となく私は経験してきているのだから。
ある時は体育祭、ある時は学園祭。
写真を一緒に撮ろうと言ってくれた方々を蘭くんは笑顔1つで追い払っていて
その時も____
____「Aー?今日はもう蘭ちゃんと帰ろーな?」
そう言って私は強制帰還されてきたのだ。
今の蘭くんにはそれを感じてしまうから少し不安になる。
私としては春千夜さんとまだ一緒にいたい、そしてもう少しお話したり
遊ぶ、という経験をしたいのだ。
「おい、三つ編み野郎」
「Aー?蘭ちゃんと乗るかー?」
私がチラチラ春千夜さんの方を振り向いているのに、兄も春千夜さんもきっと気づいている。
しかし、兄は春千夜さんの言葉を無視してしまうのだ。
私は兄達と彼が仲良くなってくれたらいいと本気でそう思っているからこそ、今の兄の対応はとても心が締め付けられるほどに苦しいと感じてしまう。
「蘭くん…」
「…そんな顔ダメ。ずりぃ。今は嫌だ。俺のAの素肌触ったし」
「…な、仲良くしてくれないと、私悲しい」
「う…」
ごめんなさい、蘭くん。と心の中で謝る。
蘭くんの優しい心に私はいつも甘えているのを私は自覚しているからだ。
「オニーチャン」
「お前にオニーチャンとか呼ばれたら俺のHPがまた減る」
蘭くんは、私が春千夜さんのことを好きだと伝えたらどんな反応をするのだろうか。
協力してくれるだろうか、それとも止められるだろうか。
「はぁ…Aはどーしてぇ?」
「…私、は」
蘭くんは前者ではないかと期待してしまう私が
「春千夜さんと、少し一緒にいてもいい…?」
私の心を素直に兄に打ち明けてしまうのだ。
私が感じる初めての感情の正体は絶対に
____恋で、愛だ。
不安定なこの感情が日に日に強くなって、私は私を制御できなくなっている。
「ごめんな。A。今日は4人で来たし、4人でナカヨク…しよう、ぜ」
「オニーチャン優しいじゃん」
「だから、それ止めろ」
そう言うと蘭くんは春千夜さんに竜胆くんを奪還するように伝えていて
「2人きりの方は叶えてやんなかったけど、百歩譲って少しなら仲良くしてやるから、それでいい?A」
「蘭くん…!ありがとう」
2人きりにはなれなかったけれど、兄達が仲良くしてくれることは私にとって嬉しいことなのです。
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マニ。(プロフ) - もむさん» ✉️。この作品凄く面白いです! (1月14日 11時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - じろにゃん★さん» ありがとうございますー!!!頑張りますね!これからもよろしくお願いします!! (1月10日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - うさこさん» あぁぁぁぁぁ……!ありがとうございます!!そんな!嬉しすぎる……!本当にありがとうございます!お返事遅くなってしまいすみませんでした……!!!続き頑張ります!!これからもよろしくお願いします!!! (1月10日 21時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
じろにゃん★ - 続きを楽しみにしてます! (1月8日 16時) (レス) id: 2ad09e2f31 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ - 完璧すぎる…(;;)続き待ってます(´;ω;`)!! (1月5日 22時) (レス) @page48 id: d68f8df98a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もむ | 作成日時:2023年10月24日 13時