31 灰谷蘭side ページ31
｢なんで許したんだよ、兄ちゃん｣
｢あ？何が｣
｢サイコパスピンクとのデート｣
弟の竜胆が、事務所のソファーに腰掛けながら不可解そうに、納得しない顔で俺を見る。
Aがそばに居る時はカッコつけて兄貴って呼ぶくせに、居ないと直ぐに弟に戻るから、こいつもこいつでAには劣るが可愛い可愛い弟だ。
そんな弟の不満はごもっともだ。
Aは産まれた時から俺らの天使だった。
小さくて、弱っちぃ、俺らだけに笑いかける可愛い可愛い、唯一無二の天使。
近づく男は片っ端から片付けて、二度と近づきたくないと思わせるくらいまで脅す。そこまでしていた俺が
三途という、頭がイカレてるヤバめの男とのデートを許した。
三途が良い奴、な訳が無い。生意気で俺らの首領以外なんて興味のない無慈悲な男
＿＿＿＿それが三途春千夜なんだから。
｢気まぐれに決まってんじゃん。あいつ片付ける口実にもなるし｣
｢兄貴、俺にその嘘、通じねぇよ｣
あー、ヤダヤダ。こんな時ばっかり鋭いんだ、俺の愛弟は。
つーか、仕方なくね？Aがアイツに惚れてんのくらい見たらわかる。
楽しそうに、嬉しそうな顔向けて三途と話して完全に恋する乙女の顔してんじゃん？
それを見て見ぬフリするのは簡単で、近づけないようにするのも簡単だ。
だけど、数日アイツが他県に行って会えなかった時、Aが本気で悲しそうな顔しながら悩んでんのを見て
無理やり引き離したら、俺が嫌われる以前にAが傷つく。
｢んじゃ、竜胆はA傷付けてぇの？｣
｢んなわけねぇじゃん！｣
｢俺も。だから、許してやったの、今回は｣
お兄ちゃんって呼ばれたことねぇけど、お兄ちゃん嫌い！って言われる事を仮定して想像しただけでその辺のチンピラ共を蹴散らす自信しかねぇ。
そしてそんなことをしたら、終わる
だから、喧嘩してたことも今の職業も隠してたのも水の泡になるのを防ぐにはこうするしか無かった。
｢げ、灰谷兄弟……もう戻ってたのかよ｣
｢マツゲチャンー、俺らのところはスグ吐いたから片付け楽だったよ｣
｢おいコラまつ毛ピンク｣
｢てめぇは俺の呼び方固定できねぇのか？誰だかわかんねぇよこの脳筋｣
｢あ？ちゃんと反応してんじゃねぇかよ、文句ばっか言ってんなよ頭お花畑｣
それに三途も別に遊びでAに関わっているわけじゃねぇのが何となく伝わる
最近キメてるところ見たことねぇし、ヤク切れ起こすと発狂してたやつがそれを我慢してやがったし
遊びだったら、1発ぶん殴って二度と近づかせなかったのに。
俺、お前にお兄ちゃんって呼ばれたくねぇ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 642人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マニ。(プロフ) - もむさん» ✉️。この作品凄く面白いです！ (1月14日 11時) (
レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - じろにゃん★さん» ありがとうございますー！！！頑張りますね！これからもよろしくお願いします！！ (1月10日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - うさこさん» あぁぁぁぁぁ……！ありがとうございます！！そんな！嬉しすぎる……！本当にありがとうございます！お返事遅くなってしまいすみませんでした……！！！続き頑張ります！！これからもよろしくお願いします！！！ (1月10日 21時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
じろにゃん★ - 続きを楽しみにしてます！ (1月8日 16時) (レス) id: 2ad09e2f31 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ - 完璧すぎる…(；；)続き待ってます(´；ω；｀)！！ (1月5日 22時) (レス) @page48 id: d68f8df98a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もむ | 作成日時：2023年10月24日 13時
