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「何もしてねぇだろうな」
「…蘭の方には許可とってんだけど?」
現在時刻21:00。
春千夜さんは、宣言した時間よりも1時間早く私を帰宅させてくれた。
私とまたお出かけしたいからと、そんな嬉しい言葉を私の心の中に残して。
だから、私は少し名残惜しくて寂しいという感情が私を支配しそうになっていたのにも関わらず、次があるという期待でそれを打ち消していたのだった。
「兄貴は優しいからな」
「優しい奴は無睡眠で朝までゲームに付き合わせねぇんだよ」
「うっせ。Aー、何もされてないか?嫌なこととか、兄ちゃんが怒ってやるからな??な?」
竜胆くんは、私の頬を触ったり頭を触ったり私を犬かなんかと同じものだと思っているのではないかと思うくらいに沢山触れて私の無事を確認していた。
蘭くんに許可を取っているということは自然に竜胆くんにも連絡が行っていると思ってはいたし、その予想は的中していたのだけど相当心配させてしまったようだ。
だけど、私は何故春千夜さんにこんなに心配しているのか不思議だった。
見た感じ3人は仲が特別悪く見えない、むしろゲームまでして雑魚寝までして仲良しに見える瞬間が沢山ある。
だからこそ、春千夜さんが私に無理矢理危害を加えるような人ではないと2人はきっとわかっているはずだ。
「春千夜さんが、そんな事しないって竜胆くんは知ってるでしょ?」
「A、待て、コイツはな、薬キメて喜ぶヤバいやつなんだぞ」
「残念だったな、最近してねぇーんだよ」
「そういう問題じゃねぇだろ!」
____蘭くんはそれがわかってるから許可してくれたんじゃないのかな、なんて思ったり。
春千夜さんが少し様子のおかしい方なのは出会い頭で目撃済みだけど、あの様子の狂い方を見たのは後にも先にも、あの日____
運命が変わった日の____出会い頭だけだった。
「そろそろ妹離れしろよ、シスコン」
「テメェだから心配だって…思わねぇのか」
「あ?逆に俺以外の男だったら認めんのかよ」
「認めるわけねぇだろ!!!!?どこの野郎かもわかんねぇヤツに!」
春千夜さんはずっと私に優しかった。
平手打ちして、私はスクラップにされてもおかしくなかったのに
そんなこともせずに許してくれた。
何かと気にかけてくれた。
「竜胆、くん!」
「A……?」
そんな格好良い人を好きにならないわけが無い。
でも、私が伝えたら春千夜さんが離れてしまいそうで
臆病な私は今の関係を心地のいいものだと思ってしまっている。
「もっと、私春千夜さんと仲良くしたい」
だから今は濁す言葉しか言えない。
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マニ。(プロフ) - もむさん» ✉️。この作品凄く面白いです! (1月14日 11時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - じろにゃん★さん» ありがとうございますー!!!頑張りますね!これからもよろしくお願いします!! (1月10日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - うさこさん» あぁぁぁぁぁ……!ありがとうございます!!そんな!嬉しすぎる……!本当にありがとうございます!お返事遅くなってしまいすみませんでした……!!!続き頑張ります!!これからもよろしくお願いします!!! (1月10日 21時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
じろにゃん★ - 続きを楽しみにしてます! (1月8日 16時) (レス) id: 2ad09e2f31 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ - 完璧すぎる…(;;)続き待ってます(´;ω;`)!! (1月5日 22時) (レス) @page48 id: d68f8df98a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もむ | 作成日時:2023年10月24日 13時