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まだ私はモヤモヤしていた。
我ながら根に持つタイプと言えばいいのか気にしいだと言えばいいのか。
あの可愛らしい店員さんに向けた優しい笑顔が脳裏に焼き付いて離れないのが苦しい。
なのに、一緒に貰ってくれたクマの片割れを見る度に嬉しいという感情が募って三途さんに会いたいと思ってしまう。
だから私は今日はお昼に現れなかった三途さんに会いたいという思いを込めて
ひとり寂しく会議室でご飯を食べながらクマの頭を撫でる。
「三途さんは…どうして私といてくれると思う?」
返事が帰ってくるわけじゃないことを分かっているのに
いや、分かっているからこそ、何も返事のしない無機質なクマさんに私は話しかけて寂しさを紛らわせていたのだろう。
好き、という感情は私を面倒臭くしてしまう。
自分に向けない顔が嫌で、彼のことを何も知らない私なんかより、よく知っている誰かがいるのでは無いかと考え出してしまったらキリがない。
「ふっふっふー、聞いちゃいましたよ!先輩!」
「え?は、花垣さん…?」
「もー、最近一緒にご飯できなかったので今日こそはって探してたんですよ!」
ふわっと笑う彼女が可愛くて、花垣さんが男女関係なくモテるのが身に染みてわかる。
私は、決して付き合いのいい方とも言えないし会社ではかなり口下手だから花垣さん以外は一線を引いて接してくれているのを私は分かっている。
「ふふふっ!ヒナ……じゃなくて、私は会いたい時は会いたいと言った方がいいと思いますよ!」
「え?」
「先輩の顔にそう書いてあります!」
私はそんなに顔に出るほうなのか?そう思いながら鏡を取り出しても分からなくて困ってしまうと
花垣さんは、私が机に置いたスマホを持って私に渡してくれる。
「はい!先輩、今すぐに連絡です!」
「え?あ、実は……その、あの、会いたい人の連絡先、私知らないの」
「え?」
キョトンとする花垣さん。
きっと私も花垣さんの立場ならその顔をしているからその気持ちは充分にわかる。
だけど大体は三途さん自ら会いに来てくれていて、大概がタイミングのいい時なんて花垣さんに言ったら引かれてしまう気がして言えずに、偶然が重なってと答えると
花垣さんは目をキラキラさせて運命じゃないですか!と言ってくれた。
「じゃあきっと、すぐ会えますよ」
「そう、かな?」
ここ数日会えていないけど、こんなザラザラした感情を持った私と三途さんはもう一度会ってくれるだろうか
そんなことを思いながら私はまた、クマさんに会いたいと願いながら撫でた。
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マニ。(プロフ) - もむさん» ✉️。この作品凄く面白いです! (1月14日 11時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - じろにゃん★さん» ありがとうございますー!!!頑張りますね!これからもよろしくお願いします!! (1月10日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - うさこさん» あぁぁぁぁぁ……!ありがとうございます!!そんな!嬉しすぎる……!本当にありがとうございます!お返事遅くなってしまいすみませんでした……!!!続き頑張ります!!これからもよろしくお願いします!!! (1月10日 21時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
じろにゃん★ - 続きを楽しみにしてます! (1月8日 16時) (レス) id: 2ad09e2f31 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ - 完璧すぎる…(;;)続き待ってます(´;ω;`)!! (1月5日 22時) (レス) @page48 id: d68f8df98a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もむ | 作成日時:2023年10月24日 13時