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「かわっ、可愛い…!」
「おー、良かったな」
冷める前に自分の眼とスマホの写真に収めると、店員さんが何やら小さなキーホルダーをふたつ持ってきてくれた。
普通にお店で買ったら700円くらいしそうなものを私も三途さんも頼んでいなくてきょとんと店員さんを見上げると、店員さんはキラキラして眩しすぎる笑顔を私たちに向けると
「このクマカレーを頼んでいただいたカップル方に数量限定でお配りしてたんです!」
そう言った。
「えっ、か、カップル……?」
「あれ?違いましたか???」
私はすごく焦ってしまう。私は勘違いされても特に嫌だとかそういう感情は持たない。
だけど、三途さんはどうなのとかは、私は彼になれないから理解できない
だから私は何となく胸がキュッとしてしまいながら否定しようとすると
三途さんは、いつもの素っ気ない三途さんではなく
なんと言えばいいのか、すごく優しい表情で
「いえ、違いませんよ。せっかくだから貰うだろ?A」
「え、あ、は、はい…」
丁寧な話し方で店員さんとお話してて
何故だか、それが面白くなかった。
ザラザラして、こういうのが負の感情だとでも言うのだろうか
こんな感情を持ってはいけないと、新しい三途さんの一面が見れて嬉しいという感情を持つべきだと頭では理解しているのに
それを見せてくれたのが私に対してではなく、可愛い女の子の店員さんだと言う事実が私の中で面白くないと思ってしまったのだろう。
「……おい」
「え?」
「聞いてたか?」
「あ!え、すみ、ません…」
全く何をしているんだ自分はと思いつつも、あの優しい笑顔が脳裏に焼き付いて離れない。
この感情が嫉妬だということを、この時の私はまだ知らずにいた。
兄に対してもしたことが無いからだ。
寧ろ、私じゃなくて彼女を作らないのかと心配している程に私は溺愛されているせいでそんな感情を持ったことがなかった。
だから、この時の私はこの感情がなんなのか、その答えが分からなくて苦しかった。
「んだよ、俺とカップルって間違われたのがそんなに嫌か」
「ち、違っ」
「ふーん?」
だから、三途さんが不機嫌にそう言ってしまった言葉をすぐに否定すると
楽しそうに口角を上げる三途さん。
私のことをからかっているのか、カレーを掬うと私に食べろと言わんばかりにそれを向けてくる。
「A、食べろ」
「は、恥ずかしい、です」
「俺の話聞いてねぇお仕置」
そう言って無理やり口に運ばれたカレーは
カレーなのに甘ったるくて心臓がありえないほど心拍数を上げた。
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マニ。(プロフ) - もむさん» ✉️。この作品凄く面白いです! (1月14日 11時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - じろにゃん★さん» ありがとうございますー!!!頑張りますね!これからもよろしくお願いします!! (1月10日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - うさこさん» あぁぁぁぁぁ……!ありがとうございます!!そんな!嬉しすぎる……!本当にありがとうございます!お返事遅くなってしまいすみませんでした……!!!続き頑張ります!!これからもよろしくお願いします!!! (1月10日 21時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
じろにゃん★ - 続きを楽しみにしてます! (1月8日 16時) (レス) id: 2ad09e2f31 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ - 完璧すぎる…(;;)続き待ってます(´;ω;`)!! (1月5日 22時) (レス) @page48 id: d68f8df98a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もむ | 作成日時:2023年10月24日 13時