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あれから数日、お礼も何も言えないまま過ぎてしまった。
名前も分からないし、分かっていることといえば髪の色がピンク色だってこと。
それと薬を飲んでることと、拳銃を所持していること。
そうなると、兄に聞くのがいちばん早いと思うのだけど
絶対ニコニコした顔しながら、知らない♡って知ってても教えてくれないのがオチで中々聞けずにいた。
「A、どした?にぃちゃんが話聞いてやんよ?」
「竜胆くん…」
竜胆くんは、三角座りをして悩んでる私を後ろからぎゅっと抱きしめると私の頭に顎を乗せてくる。
こういうことを私に普通にしてしまうから学生時代は少し困ったこともあった。
竜胆くんと同じ学年の先輩から、調子乗んなよ!って彼女だと勘違いされ、呼び出しを食らったり
勘違いを知った時の竜胆くんはニコニコ上機嫌案件だったのだけど
呼び出しの事実も同時に知った時は、なんの力を使ったのか次の日から逆に先輩方に挨拶されるようになって
益々孤立することに…。じゃない。話がどんどんズレてしまった。
「…人を…探してて…」
「ん?おう、すぐ見つけてやるよ」
中々言い出せない私に、竜胆くんは悟ったのか、男?って聞いてくる。
抱きしめる力が強くなって私が逃げないように、でも、私が苦しくならないようにしてくれるのは竜胆くんの優しさなんだと思う。
「やだ、男なんて忘れろ。兄貴が聞いたらブチギレるぞ。俺でよかったな」
「で、でもね、その人に助けて貰って…!まだお礼言えてなくて…そんなの人として最低だし…」
「う…あーくそ!可愛いAを最低な女には出来ねぇ…」
私が困ったように竜胆くんを見ると、竜胆くんはすごく嫌そうな顔をして
心底嫌そうな顔してまずは特徴を聞いてくれた。
「ピンク髪で?背が高ぇ、んで?薬を飲んでて?拳銃……なぁ、そいつ口元に傷の跡無ぇ?」
「うーん、顔は見てないから分からないの」
「もしあの野郎だったら可愛いAでも助けねぇよな、アイツマイキー以外に興味ねぇし…ブツブツ」
竜胆くんが、ブツブツ独り言を言い出しながら青くなったり嫌な顔したり忙しくなっていて
「ただいまー蘭ちゃんが帰ったぞ」
私が、蘭くんおかえりと言うよりも先にダダダと大きな足音を立てて竜胆くんが蘭くんの両肩に両手を置いて兄貴!と叫ぶ
「A、悪ぃ。ご飯作ってくんね?竜胆が超腹減ったんだってよ」
「え?あ、うん、わかっ、た」
まさか私の探していた人で2人が兄弟会議を開いているなんてのを知らずに
私は1人夕食を作るのでした。
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マニ。(プロフ) - もむさん» ✉️。この作品凄く面白いです! (1月14日 11時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - じろにゃん★さん» ありがとうございますー!!!頑張りますね!これからもよろしくお願いします!! (1月10日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - うさこさん» あぁぁぁぁぁ……!ありがとうございます!!そんな!嬉しすぎる……!本当にありがとうございます!お返事遅くなってしまいすみませんでした……!!!続き頑張ります!!これからもよろしくお願いします!!! (1月10日 21時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
じろにゃん★ - 続きを楽しみにしてます! (1月8日 16時) (レス) id: 2ad09e2f31 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ - 完璧すぎる…(;;)続き待ってます(´;ω;`)!! (1月5日 22時) (レス) @page48 id: d68f8df98a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もむ | 作成日時:2023年10月24日 13時