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約束通り、蘭くんとお出かけの日。蘭くんとお出かけの時は決まりがある。
それは、絶対に外で待ち合わせをすることで、家から一緒にお出かけをするのを蘭くんはすごく嫌がる。
「竜胆くん、行ってきます」
「…やっぱやだ、行くな」
「蘭くんなのに?」
「兄貴だって男だし、まじ本当にヤダ。クソ、あの時あの野郎と喧嘩してなきゃ……」
なので今日もいつも通り外で待ち合わせるのだけど、竜胆くんが私に抱きついて中々離してくれない。
竜胆くんがよく知ってる蘭くんだよ?と伝えても、兄貴だからこそ不安だと言われてしまう。
蘭くんは確かに私とお出かけをする時、恋人っぽいことをしたがるけれどそれ以外に何も無い。
本当に稀に、蘭くんに喧嘩を打ってくる人がいるくらいで
だからって負けてるところを見たことがないし、私自身も怪我をしたことは無い。
なんなら、蘭くんの得意技なのか一言声をかけると大抵の人が逃げて言ってしまうのだ。
鶴の一声ならぬ、蘭くんの一声で。
「竜胆くん、お土産買ってくるよ?」
「いらねー、Aがいい」
私に抱きついている竜胆くんのふわふわの髪の毛を見ていると触りたくなってしまう衝動が湧き上がってきて、思わずそれに触れると竜胆くんはピクッと身体を震わせた。
髪の毛にもこだわりが強い彼のことだ、触られたのが嫌だったのだろうと手を離すと小さい声で、もっとと言ったのを私は聞き逃さなかった。
だから、私も黙ってまた頭を撫で始めた。
「後で、俺ともデートしてくれんの?」
「うん、一緒にお出かけしよ?」
「……行かせたくねぇ」
そう言うと竜胆くんは私から離れて部屋に戻ってすごい勢いで私の所へ戻ってくると、右手になにやら持っていた。
シュッと音がすると、竜胆くんの匂いがふわっと広がる。
竜胆くんが持ってきたのは、香水だった。
「よし、これでAから俺の匂いする」
「ふふっ、ほんとだ。竜胆くんの匂い」
そう言ってただ匂いを嗅いだだけなのに、竜胆くんは何故かまた行かせたくないムーブが始まってしまった。
困っていると、蘭くんから着信が来る。
「誰、あのイカレピンク?」
「え?三途さんのは……持ってないもん…」
「よし、いい子だ。A」
私は三途さんの連絡先は欲を言えば欲しいと思ってしまう。
でも、くだらない話しして嫌われたくもないし持ったところで活用出来る気がしなくて聞けずにいたのだ。
「んじゃ、誰?」
「蘭くんだよ」
「げっ、A、行ってら。気をつけていくんだぞ、うん」
蘭くんの着信は竜胆くんの決心を強くする効果があるみたい。
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マニ。(プロフ) - もむさん» ✉️。この作品凄く面白いです! (1月14日 11時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - じろにゃん★さん» ありがとうございますー!!!頑張りますね!これからもよろしくお願いします!! (1月10日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - うさこさん» あぁぁぁぁぁ……!ありがとうございます!!そんな!嬉しすぎる……!本当にありがとうございます!お返事遅くなってしまいすみませんでした……!!!続き頑張ります!!これからもよろしくお願いします!!! (1月10日 21時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
じろにゃん★ - 続きを楽しみにしてます! (1月8日 16時) (レス) id: 2ad09e2f31 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ - 完璧すぎる…(;;)続き待ってます(´;ω;`)!! (1月5日 22時) (レス) @page48 id: d68f8df98a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もむ | 作成日時:2023年10月24日 13時