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いつもと同じカーテンから差し込む太陽の光で目が覚める。
背伸びをして、少し残っていた眠気を取って、いつものようにココアを飲む準備をしようとキッチンに向かうと
いつもと同じ朝なのに、いつもと違う風景が広がっていた。
「んん…テメェ…そこで…甲羅…馬鹿野郎…」
「兄貴…おればっ、か…狙うな…」
「雑魚ども…すぅ…」
いつもは部屋で寝ている兄2人が雑魚寝をしているところ
そして何より1番違うのは、三途さんがそこに混ざってそれをしている事だ。
彼の寝顔なんてものは勿論見たことがないし見る機会なんてものは存在しないと思っていた
だからなのか、少しの好奇心が私を突き動かしてしまう。
普段はまじまじ見ることの無い、というよりは目が合うのも恥ずかしいと感じて彼の顔を直視できなく見ることが出来ない顔をじっくり見たくなったのだ。
まつ毛はお人形さんみたいに長く、長め。
流石に鉛筆は無理だろうけど爪楊枝なら余裕で置けるのではないかと思うほどに長い。
女の子の欲しいものがここにあると思いながらついつい観察してしまう。
「…見すぎだっ、つーの」
手をパシッと掴まれ、眠っていると思っていた三途さんが目を覚ましてしまったせいで頭の中が真っ白になる。
起きるような前兆はなかったから、尚更。
なんて言い訳をしようか、そんな事ばかりが私の頭を駆け回る。
言い訳をしたところで私が観察していたという事実は変わらないのに。
「はよ、A」
「おはよう…ございます…!」
「お前のクソ兄貴どうにかしろ…マジで不休でゲームしやがって…バケモンかよ」
「でも、蘭くん楽しそうでしたよ?」
「そりゃ、あんだけ甲羅当てやがったら楽しーだろーよ」
案外三途さんは何も気に止めてないようで、昨日の文句を言いながら目を擦る。
三途さんにもココアを用意しようと席を外そうとすると、三途さんは立とうと
した私の腕を引っ張るから
私の無いに等しい体幹が何も仕事しなくてバランスを崩すと、包まれるように三途さんに抱きしめられてしまった。
「…今アイツら起きたら…俺またゲーム地獄じゃん」
「そうしたら…今日もお泊まりですね」
「何?嬉し?」
そう言って私の肩に顔を埋めると、三途さんは限界に達していたのか私を抱きしめたまま眠ってしまった。
寝ている三途さんに言ったところで聞こえないことは十分理解していた私は、それを利用して
小さく、嬉しいですよと伝えた。
本当は寝たフリをしただけだった三途さんがそれを聞いて
にやにやしているのを知らずに。
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マニ。(プロフ) - もむさん» ✉️。この作品凄く面白いです! (1月14日 11時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - じろにゃん★さん» ありがとうございますー!!!頑張りますね!これからもよろしくお願いします!! (1月10日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - うさこさん» あぁぁぁぁぁ……!ありがとうございます!!そんな!嬉しすぎる……!本当にありがとうございます!お返事遅くなってしまいすみませんでした……!!!続き頑張ります!!これからもよろしくお願いします!!! (1月10日 21時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
じろにゃん★ - 続きを楽しみにしてます! (1月8日 16時) (レス) id: 2ad09e2f31 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ - 完璧すぎる…(;;)続き待ってます(´;ω;`)!! (1月5日 22時) (レス) @page48 id: d68f8df98a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もむ | 作成日時:2023年10月24日 13時