14 ページ14
「三途さん、送ってくださって、ありがとうございました」
「別に俺が勝手にしてるだけだし」
車内での会話はほぼ無く、静まり返った車内は雨が車にぶつかる音で響いていた。____そんな静寂も心地良いと思いながら運転をしている彼の横顔を見て少し心臓が跳ねた。
玄関の前まで送ってくれた三途さんにお礼を言って、気をつけてくださいね。そう言おうとした時
目の前が一瞬まっ白い光に包まれた。
アレが来る。そう思った時には大きな音が私の耳に入ってきて思わずしゃがんでしまう。
「おい、もしかして、雷ダメなのか」
「っ…」
震えて声が出ないと判断した私は何度も首を縦に振ると三途さんは私が立てないと思ったのか横に抱え始める。
流石に恥ずかしさが込み上げて降ろしてくださいと頼んでも黙ってろと言われてしまって何も出来ない。
蘭くんと竜胆くんは絶対男なんか家にあげたらいけないと私に耳にタコができるくらい言ってくれていたのに、私はその約束を破ってしまった。
そもそも男にかかわらないで、という約束ももう既に破ってしまっている時点で私は約束を破っていることになってしまっているのだけど。
竜胆くんも蘭くんもきっとすごい剣幕で怒るのが容易に想像できる
____私に対してではなく
今、私に親切にしてくれているこの人に。
「三途さ…」
ふわっと優しく私を下ろすと耳に手を当てるように言うので言う通りに手を当てると、またあの時と同じく優しい力で抱きしめられて頭が混乱してしまう。
こんな所、蘭くんたちに見られたらとかそんな考えが真っ先に浮かびながらも
私が雷とか三途さんの行動の意味とか頭の中が混乱している中で絞り出た言葉が
____なんで?
この3文字だった。
「うるせ、知るか。抱きしめて安心させてやりてぇだけ」
益々私の頭は混乱するばかりで、また頭の中がまたぐちゃぐちゃになってしまう。
考えているせいなのか私の鼓動がうるさいせいなのか雷の音が少し遠くに聞こえて三途さんから少し薬の匂いがして、それがやけに心地よくて安心しきってしまっている私がいる。
雷は嫌いだ、存在自体が私を怖がらせるから。
でも、今だけはもう少しだけ雷様にお願いしてしまう。
もう少しだけでいいから、鳴ってくださいと。
もう少しだけでいいからこの人に触れられたいと、思ってしまっているから。
「A、雷どっか行った」
「は、い」
「ま、だからって離してやるとは言ってねぇけどな」
私の心を見透かしたように、雷が鳴り止んでも私をしばらくの間優しく抱きしめ続けてくれた
642人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マニ。(プロフ) - もむさん» ✉️。この作品凄く面白いです! (1月14日 11時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - じろにゃん★さん» ありがとうございますー!!!頑張りますね!これからもよろしくお願いします!! (1月10日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - うさこさん» あぁぁぁぁぁ……!ありがとうございます!!そんな!嬉しすぎる……!本当にありがとうございます!お返事遅くなってしまいすみませんでした……!!!続き頑張ります!!これからもよろしくお願いします!!! (1月10日 21時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
じろにゃん★ - 続きを楽しみにしてます! (1月8日 16時) (レス) id: 2ad09e2f31 (このIDを非表示/違反報告)
うさこ - 完璧すぎる…(;;)続き待ってます(´;ω;`)!! (1月5日 22時) (レス) @page48 id: d68f8df98a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もむ | 作成日時:2023年10月24日 13時