兄がカリスマシスコンなせいで彼氏ができません！【三途春千夜】

12 三途春千夜side ページ12

｢随分お熱じゃん、三途｣

｢あ？意味わかんねぇこと言うならスクラップにすんぞ、九井｣




灰谷弟に嫉妬した訳じゃない。
ただ、何となくAには目が悪いと嘘をついた。

目はそこそこ悪くねぇ、あの日だって一目見てAだと思った。

シスコン野郎がいる手前絶対近づいたらめんどくせぇ事になるし、密かに調べて勝手に迎えに行ってるあの時間が無くなるのが嫌とか思ってる俺がいて



＿＿＿＿感情がぐちゃぐちゃに掻き乱される。




｢大変だよなぁ、兄貴があのカリスマ兄弟なんて｣

｢あ？｣





コイツのこういう所が嫌いだ。

証拠のない、確証のねぇことは言わねぇとか普段から抜かしやがる癖に

カマかけてくるように俺を見て聞いてくるコイツが心底嫌いだ。

まるで俺から話せよって言っているみたいなこの態度に腹が立つ。





｢最近ヤクキメてねぇもんな？嫌われたくねぇんだ？｣

｢そのうるせぇ口閉じろや、ぶっ潰すぞ｣

｢あー怖。んだよ、話聞いてやろうってだけだろ？｣

｢なんでﾃﾒｪに話さなきゃねぇんだよ｣

｢気になるから？｣







何が楽しくてコイツにあの女の話をしなければならないのか。

まず大前提、俺はAに熱を上げてるわけじゃねぇ。断じて違う。

嫌がらせだ、嫌がらせ。あのクソシスコン兄弟の日頃の鬱憤をAを使って晴らしているだけだ。


お前らの可愛い妹と今一緒にいるのは俺だと。

一瞬でも触れてるのは俺だって、ざまぁみろって。







｢どーせ調べて全部知ってんだろ、俺に聞くなっての｣

｢いやー？流石に抱きしめてるところ見かけた時はビビったけど？｣

｢……お前、ゆっくりスクラップになりてぇ？今すぐなりてぇ？｣







それで1回平手打ち食らわせてきたのは、中々肝の据わっている奴だとは思ったけど。

シスコン兄から聞いてんだろ、俺が野蛮でやべぇ人間だってくらい。

なのに何なんだよあの女は、脅してもビビりやしねぇ。

泣いた時は泣くなって反射的に思っちまって、女なんか抱きしめたこともねぇのに

どのくらいの力加減で抱きしめていいのか分かんねぇから1番弱い力で抱きしめちまってるし



なんかいい匂いするし




腹立たしいことに、俺の調子を狂わしてきやがる。








｢でもぶっちゃけ、捨てるんだろ？｣

｢は？｣

｢だから、付き合ってポイだろ？だってお前あの兄弟に仕返ししたいだけじゃん｣






九井の見解はあっているはずなのに

何故そう言われると違ぇよって怒りの感情を向けそうになってしまうのだろうか

俺の行動の根底はそうだったはずなのに。








｢あの女幸せにすんの、俺だから｣











俺自身が変だ

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