56 灰谷竜胆side ページ6
可愛い妹がボスに連れていかれた件について。
まずは1発、このまつ毛をぶん殴る。
そして謝って許しを乞うてきたら、このまつ毛をぶん殴る。
よし、これで決定だ。俺にはこの、ピンク髪のまつ毛を殴る他以外の心の不安をかき消す方法が思い浮かばねぇ。
絶対!何があっても!妹にこの仕事だけはバレたく無かった。
ずっと、悪いオジサンからお金を返してもらう仕事だよと言い聞かせてきたのに。
完全にアレだろ、やべえ組織にいるって思われた。
金返さねぇ悪い大人に集金に出かけることはあっても、生易しいもんじゃねぇってことがバレた。
ジ、エンド俺様。
「竜胆サン、顔怖すぎ。いくら何でも女には手ぇ出さないしょ」
「ココ、んなのわかんねぇだろ?!知ってっか?俺の可愛い妹天使Aはな!?!この!ピンク髪まつ毛に!!!ビンタしたんだぞ!?!」
あの時はスカッとしたというか、我ながらお転婆妹可愛いなんて思ってた!
でも今は状況が違ぇんだよ
まつ毛は、悔しいけど興味のあるモンは壊さねぇ
ボス…未知数!
はい、終わった。
絶対お転婆すんなよと願いながら神頼みってやつをずっとしていた。
「…クラゲ」
「あ?今来んな、ぶん殴りそうだから」
頭の悪い俺でさえもわかること、それは今このまつ毛を殴ったら100パーセント
"竜胆くん、痛いことしないで!嫌いっ!"
そう言われるに決まってんだよ、クソが。
だから、手を出すのを我慢してやっているのにこのまつ毛はしおらしく俺に近づいてきやがるからムズムズしてしまう。
「わる、かった」
「は?」
「軽率に連れてきた」
「…分かってんならいいっつの、ったく。Aにも謝れよ」
そして謝るなんて所行をしやがるから、俺も咄嗟に許してしまって自分でドン引きしている。
いや、これはむしろ、"竜胆くん…!優しいねっ!"と言われるチャンスと言ってもいいのだろうか。
でもこれはAが無事に帰ってきたらの話だ。
「これ、蘭サンに高値で売り付けてやろ。神頼み中の竜胆サン」
「待て、兄貴には絶対渡すな。そして俺の純粋な神頼みを馬鹿にすん…」
そうどなろうとした時だった。
あの三途野郎が、神に控えめに祈り始めていた。
そこまでしてるこいつを見てると、Aを渡す気にはなれねぇが
こいつなりにすげー好きなのが伝わってきて複雑だ。
「マイキーさん、駅前の小さなどら焼き屋さんが、すごく美味しいのですよ」
「へぇ、今度買ってみるわ」
「はいっ」
そんなグチャグチャな俺の心とは裏腹に楽しそうなふたりが戻ってきたのは言うまでもない。
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!? - もむさん、神ですか?!!! 作品全部面白いんですけど?! (4月24日 18時) (レス) @page7 id: 37f7d05f89 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - 朱夏さん» わぁぁぁぁぁ!ありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!頑張りますね!これからもよろしくお願いします!!! (1月16日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
朱夏 - この作品本当大大大大好きです!!更新頑張ってください‼️応援してます! (1月14日 19時) (レス) @page1 id: 4ac169a836 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もむ | 作成日時:2024年1月13日 21時