55 ページ5
｢っはぁ…そこら辺座って｣
部屋に着くなり力が抜けた声に態度で私に接するマイキーさん。
朗らかで、先程の怖い。という印象を一瞬で塗り替えてしまった。
この人がさっきの人と同一人物かと通行人に映像を見せてアンケートを取ったらきっと、別人。そう答えるだろう。
｢女になにかするわけねぇのに、アイツ心配しすぎ｣
｢あ、あの…｣
｢ん？どした？｣
｢す、すみません…！本当は私が春千夜さんのこと心配で…着いてきてしまって…｣
そう言うと、驚いた顔で私を見る彼は次の瞬間には楽しそうにニコニコ笑い始めた。
｢物好きだね、アンタ｣
｢え？｣
｢俺の言うこと以外完全無視のアイツ、怖くねぇの？｣
｢こ、怖くないです…！いつも優しくしていただいて…困ったことがあれば助けてくれて本当に心の暖かい人だと、思います｣
春千夜さんは、マイキーさんの言うこと以外完全無視だと言うのに
さっきはそれに逆らって、私を守ろうとしてくれたのだ。
そんな人が怖い？絶対にありえない、私はそう言い切ることが出来る。
だから、彼の目を真っ直ぐ見ながら力説してしまったのだ。
｢好きなの？アイツのこと｣
｢あっ、えっ、と…そ、それは…｣
｢絶対ぇ言わねぇから、教えて？｣
竜胆くんにも、春千夜さんにも言いたい。
マイキーさんは、普通の男の子だよと。
真っ赤になって言うのを躊躇している私に、早く早くーと急かす彼はすごく男子高校生のような、そんな印象を受けてしまうのだ。
｢ぜ、絶対内緒です、よ？｣
｢わかってんよ｣
｢…好きで…好きで仕方ないです…｣
｢んだそれ、春千夜羨ましすぎんだろ｣
そう言って笑ってくれるマイキーさん。
でもその後に、真面目な顔つきになる。
竜胆くん達がいたあの部屋にいた時の、少し冷たい、彼の目に。
｢…アイツは敵も多い。灰谷の妹って時点で安全が保証されてる環境じゃねぇけど、逆恨みしてくるやつが、Aちゃんに近づいてくるかもしれねぇし、危ない目にあうかもしれねぇ｣
｢は、い｣
｢離れれば、今ならまだ間に合うかもしれねぇよ？俺らがいる世界は、甘くねぇから｣
ナチュラルに名前を呼ばれていることにも気づかないほどに
私は彼の心遣いの、優しい言葉に耳を傾けていた。
｢私、が…春千夜さんにとって、どんな存在なのか、わかりません…。でも、危なくても、私は、春千夜さんのお傍に居たいです｣
｢あー、やっぱ羨ましいから、1発殴るか｣
｢か、軽くでお願いします…！｣
｢Aちゃんにするわけねぇじゃん。どっかの狂犬が暴れる前に戻ろうぜ｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 765人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
!? - もむさん、神ですか?!!! 作品全部面白いんですけど?! (4月24日 18時) (
レス) @page7 id: 37f7d05f89 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - 朱夏さん» わぁぁぁぁぁ！ありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！頑張りますね！これからもよろしくお願いします！！！ (1月16日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
朱夏 - この作品本当大大大大好きです！！更新頑張ってください‼️応援してます！ (1月14日 19時) (レス) @page1 id: 4ac169a836 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もむ | 作成日時：2024年1月13日 21時
