54 ページ4
「だぁれが、ここに、Aを連れてきていいって言った!?三途ゴラ」
「俺」
「あ、お前?ならいいって言うと思ってんのか?ア゛?」
「あー、うっせーな、俺が居るんだからいいだろ別に」
「テメェ、病み上がりのクソ貧弱野郎に誰が、誰の妹任せて安心になると思ってんだ?」
事務所と言われるところに、春千夜さんの機嫌が治らないまま連れてこられると
中には竜胆くんと、九井さん、そして少し背の小さな、でも少し怖そうな人が座っていて竜胆くんは私を見つけるや否や飛んでくるように私の方に向かってきた。
____とても、怖い顔をして。
「A、ここはダメだ来たら。兄ちゃんが送るから帰りなさい」
「ばーか、俺が連れてきたんだっつーの」
元を辿れば私が春千夜さんを過度に心配して見かねた春千夜さんが連れてきたのが正しいのに
彼はそれを一言も言わずに、竜胆くんに怒られてしまっている。
不機嫌でも優しい彼は、私を庇ってくれているのだ。
きっと私のせいだと言えば、竜胆くんは帰りなさいって言って済んだことなのに。
「春千夜、誰その子」
「待て待てマイキー、迷い猫、俺の可愛い妹が迷い込んだだけだ____」
「お前に聞いてねぇよ」
空気がピタッと止まるような経験は初めてだった。
竜胆くんが焦っているのも蘭くん相手以外で初めて見るからこの人は相当怖い人なのだろうか。
恐れ多くも彼を少し見ると、彼も私を見ていたようでパチッと目が合う。
「いいや、この子に直接聞くから」
そう言った彼は私の手を取る。
冷たくて、寂しそうな体温が伝わってくる。
春千夜さんが重体になった時と同じような、冷たさに酷く驚いていると
「マイキー、勝手に連れてきて、悪かった…から、Aの手離してくれ」
春千夜さんが、マイキーと呼んで私の繋がれてない方の手を掴んで彼の歩みを阻んだ。
みんなが怯えるから怖い人なのかと思ったけれど
じっと私を見る彼の目は不思議と怖くなかった。
彼はきっと私に何かをするつもりじゃない気がして、私は春千夜さんに微笑んだ。
大丈夫だと、伝わるように。
「私、大丈夫ですよ。春千夜さん。」
「馬鹿か、お前…俺よりよっぽど怖ぇ人だぞ」
「春千夜さんは、怖くないです。そして、貴方が好いている人だから、大丈夫な気がするんです」
「…馬鹿女」
そう言うと、春千夜さんは不安そうな、そんな顔で私を見ながら手を離してくれた。
「春千夜、この女のことどうするつもりもねぇから、安心して待ってろ」
「…分かった」
765人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
!? - もむさん、神ですか?!!! 作品全部面白いんですけど?! (4月24日 18時) (レス) @page7 id: 37f7d05f89 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - 朱夏さん» わぁぁぁぁぁ!ありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!頑張りますね!これからもよろしくお願いします!!! (1月16日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
朱夏 - この作品本当大大大大好きです!!更新頑張ってください‼️応援してます! (1月14日 19時) (レス) @page1 id: 4ac169a836 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もむ | 作成日時:2024年1月13日 21時