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「おら!俺に渡せ!潔!」
心臓を落ち着かせた私はお呼ばれされたサッカーグラウンドに来ていた。
千切くんはサッカーをしている時は人が違うみたいだ。
普段は何事にも少し面倒くさそうな印象を受けるのだけど
事サッカーのことになると、オラついていると言えばいいのか情熱的な感じの印象を受ける。
サッカーは余程好きなのだろうなと、そう思わせてくれる。
「遅せぇよ、ノロマ!!」
練習相手が遅い訳では無いと思う。
千切くんが早すぎるのだと、そう思う。
風のように軽く走る千切くんはいつ見てもかっこいい。
こっそり見に行った日もあった。
潔くんと國神くんに絶対バレないように、バレたら私の存在が千切くんにバレて遠くから観察できなくなる、なんて考えていたからだ。
「かっこいいなぁ…」
結局バレてしまったのだけど、その事については後悔も何も無い。
「だろ?俺、かっけぇだろ?」
「っ……!!!!?」
「千切、Aを何回フリーズさせれば気が済むんだ…」
「はぁ!?俺は普通に声掛けたっつーの」
こんなに近くで千切くんを見れてしまうのだから。
潔くんの言葉と、私の態度のせいでご機嫌ななめになってしまってグランドに戻ってしまったけれど。
「なぁ、俺もかっこよくね?A」
「潔くん____ごめん、千切くんしか見えてなかった…」
目を泳がせて潔くんの目を見ないで話すと
潔くんは、私の顔がもげてしまうのではないかと思うくらい顔を自分の方へ向かせた。
「千切馬鹿、俺も見ろっての」
たった一言、そう言って。
応援してくれる女子が居ないことに事程腹を立てていたことは知っている。
だからきっと、唯一応援してくれそうな私が千切くんのみを目に移しているのが面白くないのだろう。
「潔、俺の応援なんだけど?Aは」
「ばーか。俺の方が付き合い長いっての」
「俺を挟んで言い合いすんなよお前ら」
ですが潔くん、と言いたい。
國神くんも千切くん程では無いとは言えど、中々黄色い声援が多い中
潔くんのことを好きな子だっていることに君は気づいていない。
「潔くん……がんばれっ…!」
居ないと散々聞かされていたからいないものだと思ってみれば
千切くんたちの黄色い声援に負けてしまっていただけなのだ。
それなのに、私に触れたりそんな無神経なことをしているから
「あ、あの…!」
「は、はい!」
「潔くんの、彼女さん、ですか…?」
「イイエ、全く持って全ッ然違います!」
こうやって勘違いされてモテないと勘違いされているのだ君は。
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ゆい - こんな素敵な小説初めて読みました。続きが超超超楽しみです!何だかもう生きる励みになります…🥲これからも応援してます!! (2月4日 7時) (レス) id: 2a419589a1 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - あぽろさん» わぁー!!!ありがとうございます!!めっちゃ嬉しいです!これからもゆっくり更新することになりますがよろしくお願いいたします!!!! (1月5日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
あぽろ - この小説大好きです!!キュンキュンしまくりでスクロールする手が止まりません!これからも頑張ってください!!💗 (1月4日 0時) (レス) @page13 id: 60a5994a82 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - ちささん» ちささん!ありがとうございます!前作から……!嬉しいの極みです!!!!不定期更新で申し訳ありませんが千切の魅力、頑張って出せるように頑張ります!これからもよろしくお願いします! (12月13日 14時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - 「青春とは、恋愛である。」からきました!前作もすごく好きなのですが、なにせ千切くん推しなもので、すごく楽しみです…!現時点でもう大好きです!!更新楽しみに待ってます! (12月12日 3時) (レス) id: 3ee6d9cd32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もむ | 作成日時:2023年12月11日 23時