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「アンタ、見た目も中身も磨き直した方がいいんじゃない?行こ、A」
「えっ、あ、千切く……」
千切くんは私の手を引っ張る、少し痛いと感じるくらいに。
遠くから待てよ!おい!という同級生の声が聞こえているのを全て無視して
私の声も届かないのか、何度名前を呼んでも歩くのを止めてくれることは無かった。
気分は最高潮に悪かった。
なのに、そんなのを塗り替えてしまうほどの千切くんという存在。
触れられているところが熱くて、胸がきゅっと苦しくなって
でもそれが、心地良いなんて思ってしまって。
このまま時が止まってしまえばいいのに。
いつか手が離れてしまう時が来るのを私は嫌だと感じているから。
「ブランコでも乗らね?」
「え?う、ん」
突然の提案にしどろもどろになりながらも突然公園で足を止めた千切くんを見る。
今どんなことを考えているのか、どんな感情なのか____
そんなのことを考えるだけ無駄なことは分かっている。
千切くんが助けてくれたのは優しいから。
引っ張ってくれたのは、きっと私が動けないと思ったから。
それ以上でもそれ以下でもない。
誰もいないブランコに腰を掛けて無言のまま時が過ぎる。
こういう時、潔くんとか國神くんとなら
ふざけて遊ぶことが出来るのに。
対好きな人にそれだけは絶対できなくて、ただただつまらない女になっている。
「あー、今彼氏いんの?」
そんな沈黙を破ってくれたのは千切くん。
無言がキツくての特に意味の無い質問に、不覚にも気になってくれてるの?と期待してしまう私の脳。
「い!いない!」
「っぷ!力みすぎだろ!」
「だ、だって……」
好きな人に誤解されたくないという乙女の気持ちなのです。千切くん。
笑われているのは分かっているのに、私に対して笑ってくれているのが嬉しい。
この笑顔が向けられてるのは間違いなく私だと思えるから。
そして、この笑顔はお宝物で心の重要メモリーに保存させてもらってます。
「ふーん?じゃ、俺も狙っていい?Aのこと」
「……え?」
脳の処理機能が機能しなくなる。
今、彼はなんと言ったのだろうか、狙うとは私の心をということだろうか
否、そんな都合のいいことを言ってくれるわけが無い。
大方、私の聞き間違いか捉え方の違いだろう。
そんなことあるわけが無い。
千切くんは王子様なんだ。
「おーい?……固まっちまった」
これは王子の戯れ。
本気で受け取ったら____だめなの。
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ゆい - こんな素敵な小説初めて読みました。続きが超超超楽しみです!何だかもう生きる励みになります…🥲これからも応援してます!! (2月4日 7時) (レス) id: 2a419589a1 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - あぽろさん» わぁー!!!ありがとうございます!!めっちゃ嬉しいです!これからもゆっくり更新することになりますがよろしくお願いいたします!!!! (1月5日 22時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
あぽろ - この小説大好きです!!キュンキュンしまくりでスクロールする手が止まりません!これからも頑張ってください!!💗 (1月4日 0時) (レス) @page13 id: 60a5994a82 (このIDを非表示/違反報告)
もむ(プロフ) - ちささん» ちささん!ありがとうございます!前作から……!嬉しいの極みです!!!!不定期更新で申し訳ありませんが千切の魅力、頑張って出せるように頑張ります!これからもよろしくお願いします! (12月13日 14時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - 「青春とは、恋愛である。」からきました!前作もすごく好きなのですが、なにせ千切くん推しなもので、すごく楽しみです…!現時点でもう大好きです!!更新楽しみに待ってます! (12月12日 3時) (レス) id: 3ee6d9cd32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もむ | 作成日時:2023年12月11日 23時