63 ページ13
カレンダーをちらりと見た。
あぁ、もう一年経つ。
あたしが倒れて助けられたあの時から。そして、QuizKnockのメンバーとして迎え入れてもらったあの時から。
時が経つのは早いな、と思いながら、オフィスに行くためパンプスに足を入れた。
あ、そうだ、花屋によって行かなきゃ。
今日は初めて花野Pが企画する動画を一本取る。テーマはお花。
クールな印象を人に与えがちだが実は植物が好きで詳しかったりする。
出演者を伊沢さん、川上さん、須貝さんを選んだので、ネタバレしないように山本さんをお手伝いに呼んだ。
花屋の前で山本さんを待っていると、いつもの輝かしい笑顔で走りながらやってきた。
「ごめん遅くなって！」
「とんでもないです。こちらこそすみません、お手伝いなんか頼んで。」
「いいよいいよ！Aちゃんがどんな動画にするかめっちゃ楽しみだし！」
「期待に添えるよう頑張ります…。」
2人で花屋に入り、色とりどりの綺麗な花を物色する。
あまり花には詳しくないのだろう、時折花を指差してあたしに花の名前を尋ねた。
「これはなんて花？変な形。」
「これはカラーですよ。サトイモ科の多年草です。花言葉は『乙女のしとやかさ』とか『清浄』っていうんですよ。」
「へぇ〜、花言葉ってそんなのもあるんだ。」
目をキラキラさせて楽しそうに花を眺める山本さんは、やっぱりクイズプレイヤーなんだなと感じた。
知らないことを知らないままにしない。これはQuizKnockライター全員に共通しているかも。
「これは？鈴蘭に似てる。」
「サンダーソニアですね。イヌサフラン科の花で、花言葉は『望郷』『祈り』だったと思います。」
「よく知ってるね。Aちゃんと花屋歩くの楽しいわ。」
その後も山本さんの質問に答えながら今日の企画に使う花を購入した。
「同じ花でも色が違うと花言葉も違うんですよ。面白いですよね。」
「奥深いね、全然しらなかった。」
2人で沢山の花を抱えてオフィスへ歩く。
「花野って苗字、華やかでいいよね。Aちゃんにぴったりだと思う。」
へへっと笑う彼を見る。
「そんなこと初めて言われました。ありがとうございます。」
亡くなった父から受け継がれた名前。そんな風に言ってもらえるのが嬉しくて笑みが零れた。
「あーでもいつかは川上になっちゃうもんな。」
「え？」
「川上Aもいい響きだよ！」
「やめてください…」
「照れてる？かわいいー。」
少し山本さんにからかわれたのであった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 590人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なぁ(プロフ) - 咲良さん» そう言って頂けると嬉しいです。ありがとうございます、楽しみにしています！ (2019年2月19日 21時) (
レス) id: 14a8b3f8b0 (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - なぁさん» いえ、とても素敵なテーマです、是非考えさせて下さい。せっかくだし川上さんオンリーからみんな目線も考えてみたいので、短編集などで登場させたいと思います！本当にありがたいお話です！ (2019年2月19日 21時) (レス) id: e819abafbc (このIDを非表示/違反報告)
なぁ(プロフ) - よくよく考えずとも、お返事頂けた嬉しさで調子に乗っておりました…。いつかの機会に、気が向いたら程度に思ってください。すみませんでした…！ (2019年2月19日 17時) (レス) id: 14a8b3f8b0 (このIDを非表示/違反報告)
なぁ(プロフ) - 咲良さん» ご検討有難うございます！こちらこそ、図々しくすみません。むしろ、別作品なんて良いのでしょうか？？泣いて喜ぶんですが…(；・∀・) (2019年2月19日 13時) (レス) id: 14a8b3f8b0 (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - なぁさん» ごめんなさい、前言撤回します。いただいたテーマ、私の文章力では1話にとどめられそうにありません。また別の作品として描かせていただくことは可能ですか？ (2019年2月19日 0時) (レス) id: e819abafbc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：咲良 | 作成日時：2018年11月24日 20時
