番外編 flower ページ26
ふくらside
Aちゃんが花言葉を使って感謝を伝えてくれたあの日から、こういう気持ちの伝え方もあるのか、面白いなと考えていた。
きっと1人1人に合った素敵な花をAちゃんならすぐに思いつくんだろう。
そんなことを花屋の前を通った時にふと思った。
その後、時間あるし記事でも書こうかなとカフェに立ち寄ってパソコンを開く。
隣の席には上品なマダムが2人何やら楽しげに話している。
「私鈴蘭を育ててみようと思ってるの。」
「あらいいわね。割と育てるのは簡単だと思うけど暑さに弱いから気をつけてね。」
「ええ、でも手始めに簡単なスノーフレークを育ててみようかしら。」
「そうね、鈴蘭にも似ているし可愛らしいものね。」
おそらく園芸の話。スズランは辛うじて知っているが、スノーフレークって何?
気になることはすぐ調べる性分で携帯で検索をすると、なるほど、確かにスズランに似ていて可愛い花だ。
開花時期は春、ヒガンバナ科スノーフレーク属、和名は鈴蘭水仙、そして花言葉は…
「皆を惹きつける魅力…」
思わず口に出してしまった。
だってこの花言葉が、正しくAちゃんを表してるようなものだったから。
…知ってるのかな、Aちゃんは、スノーフレークの花言葉。
カフェを出て先程通り過ぎた花屋に立ち寄ると、普段は置いていないがたまたま使う予定があり少し余分に入荷していたとのことで一本購入した。
早めにオフィスに行き、細身の瓶に花を生けたちょうどその時部屋の扉が開いた。
「あれ、ふくらさん、早いですね。」
「おはよう、Aちゃんも早いね。」
「そうですね…って、あれ、スノーフレークですか?珍しい。」
やっぱり知っていたようで、すぐに花に食いついた。
「うん、Aちゃんに見てほしくて買ってきた。」
「え?」
「花言葉がね、Aちゃんにぴったりだったから。」
「ありがとうございます、でもごめんなさい、スノーフレークの花言葉知らないんです。教えてくれますか?」
困ったように笑いながら俺の顔を覗く。
ふと見せる表情、仕草、言葉。ひとつひとつがスノーフレークと同じだ。
彼女に花言葉を告げると、照れ臭そうに俯いていた。
「あたしはそんな大層な魅力はありません。皆んながあたしのいいところを見つけてくれるからそう感じるんです、きっと。」
謙遜しながらふわりと微笑む彼女はやっぱり魅力的だった。
俺たちは幸せだよ、こんな可愛い君のお兄ちゃんでいられて。
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なぁ(プロフ) - 咲良さん» そう言って頂けると嬉しいです。ありがとうございます、楽しみにしています! (2019年2月19日 21時) (レス) id: 14a8b3f8b0 (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - なぁさん» いえ、とても素敵なテーマです、是非考えさせて下さい。せっかくだし川上さんオンリーからみんな目線も考えてみたいので、短編集などで登場させたいと思います!本当にありがたいお話です! (2019年2月19日 21時) (レス) id: e819abafbc (このIDを非表示/違反報告)
なぁ(プロフ) - よくよく考えずとも、お返事頂けた嬉しさで調子に乗っておりました…。いつかの機会に、気が向いたら程度に思ってください。すみませんでした…! (2019年2月19日 17時) (レス) id: 14a8b3f8b0 (このIDを非表示/違反報告)
なぁ(プロフ) - 咲良さん» ご検討有難うございます!こちらこそ、図々しくすみません。むしろ、別作品なんて良いのでしょうか??泣いて喜ぶんですが…(;・∀・) (2019年2月19日 13時) (レス) id: 14a8b3f8b0 (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - なぁさん» ごめんなさい、前言撤回します。いただいたテーマ、私の文章力では1話にとどめられそうにありません。また別の作品として描かせていただくことは可能ですか? (2019年2月19日 0時) (レス) id: e819abafbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:咲良 | 作成日時:2018年11月24日 20時