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拓朗side
なんでもないような顔を繕い部屋を後にしたが、内心は穏やかではなかった。
何してるんですか、伊沢さん。
本当はそう言いたかったけど、早く「付き合っています」と言わなかったことにも原因があるため口を噤んだ。
自宅まで雨の降りそうな空の下を急いぐ。もしかしたらAさんが来ているかもしれない。
自宅に着くと、戸の前でうずくまる彼女の姿が見えた。
…あれは相当ダメージを食らっている様子だな。
そう思い足早に彼女に駆け寄ると、顔を上げて「川上さん…」と小さな声で俺の名前を呼んだ。
「どうしたの。」
しょげている理由はわかるけど一応聞く。
何も言わず切なくやるせないような儚い表情で俯いた。
そんな彼女の頭を撫でると、彼女は俺の手を掴み立ち上がる。
「とりあえず入りなよ。」
鍵を開けて部屋へ促し一緒にソファに座った。
何から言葉にすればいいのかわからないといったような様子だったので、思い切って俺から沈黙を裂いた。
「…キスされたんだって？伊沢さんに。」
彼女は驚いた面持ちで俺を見て、すぐに視線を逸らす。
「どうしてそれを…」
「さっきオフィスで伊沢さんに会った。伊沢さんもなんか元気なかったし、どうしたのか聞いてみたらそう言ってたから。」
「そう、ですか…」
俺以外の人とキスしたことが後ろめたいのかだんだん声が細くなる。
そして彼女は膝を抱えてようやく言葉を紡ぎ始めた。
「伊沢さんに『好きになりそう』って言われた直後に川上さんとのお付き合いが始まって、そしたらまたすぐに美奈ちゃんとの問題があって…、だから伊沢さんの気持ちを知りながらもちゃっかりこのまま無かったことにしちゃえって思ってました。」
「うん。」
「そうすれば、今までどおり伊沢さんとは友達のままお互い笑っていられるし、あたしはお断りの返事いれたり無理に気を遣ったりしなくてもいい。それでいつか付き合ってるってどさくさに紛れて言っちゃえばいいって、そんな自己中なこと考えました。」
正直それは俺も思ってた。ていうか伊沢さんが君を好きだということを頭の隅に追いやって、あの『美奈ちゃん事件』を解決して日常に戻れば、今までどおりになるって思い込んでいた。
「でも美奈ちゃん、伊沢さんに写真送ってたみたいで心の準備ができていないままあたしたちのお付き合いを知られてしまいました。もう一度あたしにはっきりと『好き』って言って、…キスを。」
彼女はため息をつきながら膝に顔を埋める。
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サイゼの店長 - アチス慶應出てきてワロタ (2019年12月12日 21時) (
レス) id: 5cb23e661f (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - marikaさん» ありがとうございます！皆様の応援のおかげです。やはり50話でおさまらなかったのでまた新しく続けます。これからもよろしくお願いします！ (2018年11月15日 6時) (レス) id: e819abafbc (このIDを非表示/違反報告)
marika(プロフ) - 赤星おめでとうございます！ (2018年11月14日 23時) (レス) id: 8a3ac12b6a (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - かたつむりんさん» ありがとうございます！そう言っていただけると頑張れます！助言もありがたいです。とりあえず、お話の完結に向けて進めていきたいと思いますのでよろしくお願いします！ (2018年10月27日 0時) (レス) id: e819abafbc (このIDを非表示/違反報告)
かたつむりん(プロフ) - 咲良さん» 読みますよ！生まれ変わっても読みます！私はいっぱい出てきた方がQKの中にいるって錯覚できるので好きです。無理にあと10話で収めようとか考えずにのびのび書くのがいいと思いますすよ！(何様って感じですが) (2018年10月26日 20時) (レス) id: f9fd282caa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲良 | 作成日時：2018年10月4日 0時
