Seaside Bound〜after story〜 ページ9
日高光啓(25) AA(24)
●A
光啓との最後のデートの日から早半年
今日は…、迎えたくなかった結婚式の日
あの日から光啓のことを考えない日なんて無かった
考えないようにすればするほど想いは強くなった
婚約者の隣に並ぶたびにこれが光啓ならと何度考えたことか
光啓の隣で笑えたら…
そんな小さな願いは叶わず、この日が来てしまった
婚約者の選んだ式場、全く好みではないドレス、彼1人で選んだ指輪
信じたくない 受け入れたくない現実
スタッフ「Aさん、もう時間ですよ」
『…はい』
慣れないヒールに苦戦しながら、大きな扉の前に父と立つ
隣の父の顔は嬉しげで、私の心には暗雲が立ち込める
音楽と共に扉が開けば拍手の嵐
この拍手に嬉しさなんて感じることは出来なかった
一歩、また一歩とヴァージンロードを進む
婚約者の隣に並び、父の腕から離れる
父「A、幸せになりなさい」
『…うん』
したくもない結婚をして幸せになれるはずがない
出そうになった言葉を押し込んで返事をした
溢れそうな涙を堪え、神父の方を向く
式は私の気持ちとは裏腹に順調に進んだ
ついにあの行事まで来てしまった
神父「では誓いのキスを」
その言葉の後、一拍置いて私のベールがゆっくりとめくられる
近づいてくる婚約者の顔
嫌だ…
そう思った瞬間
バンッと大きな式場のドアが開いた
一斉にみんなの視線がそちらの方に
私も同じようにそちらを見れば、見慣れた金メッシュで真っ白なタキシードを着た彼
私は無意識に彼の元にドレスの裾を掴んで走り、抱きついた
光「遅くなった」
『…バカ』
優しく微笑む愛しい彼をきつく抱きしめる
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作者名:your-ゆあ- | 作成日時:2021年7月22日 22時