大好きな人は。4

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そして、現在。


今日のグループの仕事を終えたら、
西島さんは2週間の休養期間にはいる。


本当は1ヶ月休んでほしいところだけど、
今年の忙しさを考えるとそうも言ってられない。


実「隆弘、今日、うちにご飯食べに来ない？」


西「え？あ、うん。」


仕事終わり、西島さんと実彩子さんの会話が近くにいる私にも聞こえる。


「よかったー。入院前に栄養つけなくちゃ。」


「うん。ソロの方の打ち合わせしてから行くよ。」


「…うん。

じゃあ、終わるの待ってる。」


西島さんはその言葉に
yesもnoも言わない。
黙って少しだけ笑う。


実彩子さんと西島さんは
一見もとどおりに見える。




西「速水、10分後、ミーティングルーム。」


「はいっ。」


そして、
私と西島さんの間に、
仕事以外の会話はなくなった。
わかっていたけど、
現実になるとけっこうキツい。


簡単に打ち合わせをしたあと、


西「入院中は、話せないから、
基本メールかLINEでみんなとやり取りする。

たぶん、速水に間に入ってもらうこともあるかも。」


「わかりました。」




西「あと…。



前に頼んだこと、
あれ、無しにして。」


「え？」


西「退院したら、
サポートしてっていうやつ。」


二人で行った寒い海が、
頭をよぎる。


「でも、西島さん、困りませんか？

実彩子さんもスケジュール、
結構詰まってますよね？」


西「ひとりで何とかやるから、大丈夫。」


「じゃあ、仕事として。
せめて、外出するときだけでも、
付き添わせてください。」


そう言う私に、


西「何かあったら、連絡する。」


おつかれと言って、
部屋を出ていった西島さんは、
一回も私の顔を見なかった。


チクっと痛む心。
でも。
こんなことくらい、大したことない。
大丈夫。

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