187 side Nissy ページ37
とろんとした目を俺に向けて、
上がった息のまま、俺の服を両手で掴んでるるり。
ズルズルと崩れ落ちるように二人で座り込む。
「ど…して…?」
答えたくても話せないから、
ただ強く抱きしめる。
伝えたいのに、伝えられない。
もどかしくて、またキスをする。
何度も重ねたキスは、
少ししょっぱい。
気づけばるりも、
俺も、
涙を流していた。
唇が腫れぼったくなるほど、
キスをして、
ただお互いに体を寄せ合う。
「西島さん…。病院は?
あ…、その前に…お風呂…。
あったまらなくちゃ。体、冷たいよ?」
あ、くっついてたらるりも濡れる。
体を離すと、るりが俺の顔を見て、
「泣いて…る…?」
両手で俺の頬を包む。
そっと流れる涙を拭ってくれる。
「冷たい。」
さすがに濡れたままでは寒くなってきて、
るりの言葉に甘えてお風呂に入らせてもらう。
熱めのお湯につかって、
なぜ自分がここにいるか、不思議に思って、
笑えてくる。
こんなみっともないくらい、
人を好きになったのは、初めてだ。
やっぱり、
今思うことをちゃんと伝えよう。
お風呂から上がると、
タオルと新しい下着とTシャツが置いてあった。
とりあえず、それらを身につけてリビングに戻る。
「すみません、Tシャツはあったんですけど、さすがにコンビニに下まで売ってなくて…。今乾かしてるので、ちょっと待っててください。」
ソファに座ればひざ掛けをかけられて、さらに肩からブランケットをかけられる。
頭からつま先までるりの香りに包まれておかしくなりそうだ。
「寒くないですか?今温かいお茶入れてきます…
っわぁ!」
るりの手を引いて、
俺の膝に座らせる。
ここにいて
そう口を動かせば、
少し赤い顔をして頷くるり。
きょうはごめん
おれ、やっぱり
るりと
いっしょに
いたい
「私の気持ち、テレパシーで届いたのかな。」
首を傾げる俺に、
「すっごい心が痛いのに、
それでも、
西島さんに逢いたい、逢いたいって、
思ってたらいきなりくるんだもん。
やっぱり魔法使いですね。」
そう言って泣き笑いのるりを抱きしめる。
「私、誰かの隣にいる西島さんは見たくない。
やっぱり、私が西島さんの隣にいたい。」
るりも、
涙を流しながら俺を抱きしめた。
188 side Nissy→←186 side Nissy
840人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リリィ(プロフ) - ちゃんうめさん» ちゃんうめさん。コメントありがとうございます!温かいコメント頂いてとても嬉しく、こちらこそ感謝です☆ (2018年5月21日 19時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - 由希さん» 由希さん、ありがとうございます!やっと続き書き始めました!引き続き楽しんで頂けたら嬉しいです。 (2018年5月21日 19時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - りんさん» りんさん、ありがとうございます!すっごく嬉しいです。続編、書き始めたのでよかったら引き続きよろしくお願いします! (2018年5月21日 19時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - いろんな方の小説がある中で、やっぱりこの話が1番大好きです本当に( ; ; ) ずっとずっと読み続けたいです…お話楽しみにしてますね! (2018年5月17日 21時) (レス) id: 76f9ce82a3 (このIDを非表示/違反報告)
由希(プロフ) - 4終了お疲れ様です。続き楽しみに待ってます (2018年5月16日 23時) (レス) id: ec5f86864e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:リリィ | 作成日時:2018年4月14日 21時