扉あければ、 (ページ37)

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◎ ページ37

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『え、？』

「あぁ、すいません、ちゃんと話します、(笑)」

「僕、神山って言います。んでこっちが重岡です」

そういわれて隣の黒髪の男の人がちょこっと会釈をした

神「俺ら二人で店を始めようとしてて、それでモデルさんが必要やなってなって、けど準備とかであんましお金がなくて、(笑)そこで困ってたらあなたを見つけたんです」

『はぁ、』

言ってることは一応理解できた

普通なら絶対断ってる、なんなら私はそんなことするキャラじゃない

のくせに今日の私は

『私でよければ、』

その場から離れて、はやくさっきのことを忘れたい

その思いだけだった

重「え、いいんですか！？よっしゃ助かった、」

神「んじゃ、細かいとことか言うんで俺らに付いてきてください！」

二人の半歩後ろを歩き、二人の店に行くことに

１歩１歩歩くたんびに、どんどん事の重大さに気づきはじめて

今更遅すぎる、"断る"の一言が頭によぎる

そんな私をお構いなしに二人はすたすたと歩いていく

＿

神「ここです」

そこは黒を基調としたシンプルな外装のお店だった

自分の好みに似ていて少し期待してしまう

神重「いらっしゃいませ」

ドアを開けてもらい、中にはいるとまだ準備中ではあるが、おしゃれな空間が広がっていた

さっきまでの後悔も少しやわらいでいくのを感じた

重「ん、ここ座って」

椅子を引かれ座ると、二人も前の椅子に腰を掛けた

神「えっと、ここいちよ服売るねんけど、レディース用のモデルをお願いしたくて、これやねんけど、」

そういって後ろにあった袋から何かをとりだして机にそっとおいた

それはワンピースとか、トップスとか何着かのレディースの服だった

それは何ともいえないくらいかわいくて、おしゃれで

『かわいぃ、』

重「ほんまに！良かった、」

二人は安心したかのように顔を見合わせた

神「んで、モデルやねんけどどうする？」

そんなこと私にしたこともないし、自信なんてさらさらない

けど目の前のこの服たちと、二人を見るとどうしても引き受けるしかなかった

『やります、！』

神「ほんま？！」

重「よっしゃ、ありがと！」

二人の笑顔を見ると、なぜかこちらまで嬉しくなってしまった

もうなくなったはずの私の大好きだった今までの生活が戻って来るような気がした