扉あければ、 (ページ29)

今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:26,694 hit

◎ ページ29

＿

濵田さんとお出かけの当日

１０時に待ち合わせだというのに、いつもの会社に行く時間とおんなじ時間に起きて、

服はこれがいいだの、メイクはこんな感じでいいだの

全部全部濵田さんが好きかなっていうのが最優先

ふと鏡にうつる私を見ると、ほんのちょびっとにやけてて、

今日くらいはいっか

なんてまた、用意にとりかかるの繰り返し

そんなことしてたらいつのまにか家を出る時間になっていた

別にギリギリでもないのに小走りになってしまうのは、きっと濵田さんのせい

＿

駅に着くともう濵田さんは来ていた

「ごめん、待った、？」

『いや、俺も今来たとこ』

濵田さんのお店の服以外は初めて見た

シンプルやけどかっこよくて、なぜかいつもの倍かっこよく見える

『かわええな、』

そうさらっと言ったかと思うと、照れたのか恥ずかしそうに片手で顔をおさえて、

こっちまで照れてしまう

私もお返しに言いたかったけど、かっこいいねなんて言葉は恥ずかしくてのどにつまって声に出せなかった

『んじゃ、行こか』

「今日はどこいくん？」

『あれ、言うてへんかったけ？』

「うん、(笑)」

「あんな、プラネタリウムのチケットが２枚あって、星と言えばAちゃんやなぁって」

そんな理由でも、お店以外で濵田さんといれることはうれしいこと

濵田さんが高身長なのは、いつも喋ってるときにも気付いてはいたけど、やっぱり隣に歩くとよく分かる

話すときに少し見上げる形になって

付き合ったらずっとこの横顔を近くで見れるのかなんて思うと、胸がくすぐったい

お互いに昔の話をしたりしてたら、いつのまにか目的地に着いた

「プラネタリウムとか久しぶり」

『俺も、何年ぶりやろ』

プラネタリウムの席と席の間は狭くて、

座るとどうしても肩があたる

最初は気を使っていたけど、時間が経つにつれ濵田さんは気にしなくなったのか、肩はひっついたまま

私にとっては慣れないことで、ひっついたところからじょじょに温度が上がるのが分かる

『お、始まった』

部屋は暗くなって、星がひとつふたつとうつしだされる

ふと横を見ると、濵田さんの横顔は星の光だけに照らされて、まぶしいくらいきれいに見える

ちょこちょこ隣を見てると濵田さんも気付いたのか目があって

それでまたお互いに照れて、目線を星に逃げることを何回か繰り返した