【na･po･li】ナポリの始末屋たち (ページ10)

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時間が長く感じる

『あれ、まだ怖くないの？いつもならみんな既に泣くけど。やっぱり殺し屋は違うよね』

瞳から光が消えているのに、輝きを感じる

狂ってる

『もしかして、付き添いの子が助けに来てくれると思ってる？あの紫のネクタイの男の子だよね？仲間？…まぁ、助けには来てくれないと思うけど』

隙はある

隙はあるけど今動くべきではない

突然暴れられても困る

「…私の仲間に何したの」

『別に。ちょっと動きを封じただけかな』

私は分かってる
そう簡単に蘭たんを封じることは出来ない

ただ私は隙を伺っている

蘭たんが来る前に出来る

“今”を伺っている

『興奮したら喉が渇いちゃうよね』

今だ

ホシがコップを手にした瞬間
私は足を振り上げた

宙を舞うナイフと
ホシの側頭部に1発の蹴り

『……痛い』

奴の片方の鼻の穴から血が垂れる

『許さない』

焦点の合わない目でどこかを見つめている

『許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない』

ブツブツ呟きながらかまえる私の方をゆっくりみると

『許さない！！！！！！！！！！！！！！』

大きく声を張り上げた

耳がキーンとする

飛びかかってきたホシに、
咄嗟に拳を突き出した

へぇ、すぎると体験に行ってすぐ辞めたボクシングも役に立つじゃん

鼻の骨の感触が生々しくて気持ち悪かった

『何をするんだ……何を…何をするんだ！！！！！！！！！！』

もう一度飛びかかろうとしたその時

「はい止まって変態」

ホシの頭に突きつけられたのは
蘭たんの銃口

「何してんのお前」

そこにいたのは、髪が乱れてスーツも乱れて私を見つめる蘭たんだった