【na･po･li】ナポリの始末屋たち (ページ27)

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10年前

俺の誕生日に出会った女の子

とある依頼で出会った女の子

鍵のかかったアパートの一室をこじ開けると
奥の部屋に酷く痩せて小さく震える女の子が見えた

俺は当時まだ10代
子供はあまり好きじゃない

と、言うか、
接し方がわからない

臭う部屋
汚い床

進むと何かを踏む

腐りかけたバナナの皮

靴を履いていてよかった

とにかく、あの女の子を救出しなければ

そう思いながら近付く

ありとあらゆるものを踏み潰して

「誕プレがこれとはね」

「文句言わないの」

hacchiがそう言うが
自分は俺が通ったあとの道を歩く

なんだコイツ

「何やこの家汚ったないな」

後から入ってきたすぎるが割と大きめの声で

「みんな早くしてください」

外を確認するshu3は俺たちを急かす
まぁ急がないと何があるか分からない

震える女の子に近付くと
「こんにちは、お名前は？」
hacchiがそう聞いた

さすが子供好き

しかし女の子は首を小さく横に振るだけで何も言わない

「ありゃ、喋れないのか」
「てかこの子9歳じゃなかった？ちっさくね？」
「虐待とかネグレクトされた子ってそうらしいよ」
「まじか…これあげる…」
「まさか誕生日プレゼントを貰うはずの日の人があげるとはね」

hacchiが隣で笑う

ポケットから取り出したのは
道で配っていた小さな飾りのついた髪ゴムとピンのセット
ポケットにしまい込んでいた

女の子はゆっくりそれを受け取ると
ギュッと握った

今思えば本人の目の前でこんな話をするなんて
ずいぶんデリカシーのない男たちだ