#30 ページ7
「けど、まさか助手席にAを乗せる日が来るなんてな。」
出発してから何分か経った時、たかちゃんがぽつりとこぼした。
この言葉だけで胸の痛みが少し和らいでしまう自分の単純さに、嘲笑が零れそうになる。
でも、そんなことより。
初めて9年間に触れた。
どこかで、そりゃそうだ、なんて思ってしまう自分もいるけれど。
だって、この奇跡の遭遇が無ければ一生会うことは無かった。
わたしから会いに行くなんてできない、もう会っちゃいけないって言い聞かせてた。
だから、たかちゃんのそのつぶやきに答えられない。
「あのさ、楽屋で会った時に聞きたいこと何も聞けてないって言ったの覚えてる?」
呟きに答えなかったからか、たかちゃん控えめにそう問いかけた。
「うん」
嘘つくところでもないので素直に頷く。
「答えられるのだけで構わないから、質問に答えてほしいんだ。いい?」
この9年間はタブーだと思ってたけど、一方的に避けられてたたかちゃんは疑問しかないわけで。
わたしも、再会してすぐの時よりこの2人の空間に慣れてきたから、時間の許す限り本当のことを伝えたい。
「わかった」
そう答えると安心したように、たかちゃんの肩の力がぬける。
今いるところから家までは10分くらい。
避けていたことを許してもらおうなんて思わない。
でも、関係が前に進む一歩になるならば。
本音を伝えることで、彼の心に少しでも私が存在するようになるならば。
この短い時間で伝えられることを伝えきろう。
「ありがと。それじゃあ、一個目ね。」
聞きたいことはたくさんあるだろう。
自然と身構えてしまう。
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ちさき(プロフ) - かたつむりんさん» ご指摘ありがとうございます! (2017年10月19日 19時) (レス) id: 6dce23e467 (このIDを非表示/違反報告)
ちさき(プロフ) - ドリーさん» ご指摘ありがとうございます! (2017年10月19日 19時) (レス) id: 6dce23e467 (このIDを非表示/違反報告)
かたつむりん(プロフ) - オリジナルフラグ外してくださいね! (2017年10月19日 19時) (レス) id: f35d15b5f6 (このIDを非表示/違反報告)
ドリー(プロフ) - オリジナルフラグを外して下さい!運営によって削除される可能性があります! (2017年10月19日 17時) (レス) id: 5e3261a1cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちさき | 作成日時:2017年10月18日 18時