橙色の空の下で。3

#40 ページ34

宇野side.



一言で言うなら後悔してる。






真っ向勝負なんてする気なかったくせに、Aちゃんにそう言っちゃったこと。






本当は悩んでるAちゃんの弱味に漬け込もうとか思ってた。







でも、純粋ににっしーを想っててそのせいで辛いなんて、自分と同じ状況の子にそんなことできるわけがなかった。







Aちゃんとは何度か会ったことはあったけれど、その度に複雑そうな顔をして私を見ていたからきっと嫌われてるんだろうと思ってた。







8月にたまたま会ったあの日、私も見せつけるようににっしーと話しちゃったし。







年上なのに余裕無いなぁと思わず嘲笑が零れる。







一人でいても負の永遠ループな気がして、誰かと飲もうと連絡先を漁る。







今のこのぐちゃぐちゃな心を相談できるのは、とそこまで思ってシンジロウの文字で止まる。






真司郎しかいない、か。







AAAはグループ内恋愛は無いと公言してるから、友達の誰にも相談してはいない。







しかも、いつもその問いに答えてるのは私なんだから尚更言えない。







…正直、真司郎とはCharge&Goのリリイベの時の夜から変な距離を置いてしまってる。







私の気持ちはダダ漏れだったに違いないけれど、口に出して言ったのは初めてで。






真司郎は普通に話しかけてくれるけれど、なんか気恥しくなってよそよそしい態度をとってしまう。






だから、今から呼んでも真司郎とうまく話せる自信が無い。






でも、一人でいて大丈夫でいられる自信もない。






…呼んでみようかな。






うん、電話に出たら呼ぼう。






出なかったら千晃か誰かと遊ぼう。







そう思ったら気が楽で、気づけば電話をかけていた。







真司郎はいつも5コール目以降じゃないと出ないから、もし6コール目で出なかったら切ろう。







ﾌﾟﾙﾙ…






『もしもしー？宇野ちゃんどうしたん？』






「え？」






まさか1コール目で出るとは思わなくて、思わず聞き返してしまった。






『あ、間違い電話やった？たまたまケータイ見てたからすぐ出ちゃったんやけど。』






「ううん違うよ。ただ、真司郎が出るの早いなんて珍しいからびっくりしちゃって。」






あくまで冷静を装う。






普通に話せているかは甚だ疑問だけれど、相手は真司郎だ。






きっと気にせずに話してくれる。






『俺だってたまには早く出れるわ！…ってちゃうわ、何か用事あった？』

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