#35 ページ24
「お前失礼だな、けど、初めて隆弘に感謝してるわ。うん、まさか宇野さんに会えるなんて…。俺も死ねる、死んでも悔いねえわ。」
わたしと違って、AAAの大ファンなお兄ちゃんは最近専ら宇野さんが好きらしく。
さっきご飯を食べてる時も宇野さんに会わせろ、としつこく言っていたのだ。
「あらー、そんなこと言ってもらえるなんて嬉しいです!宇野実彩子です、よろしくお願いしますね。」
語尾におんぷマークが付きそうなくらいの笑顔で話す宇野さん。
可愛らしいなぁ。
「俺、佐野陽紀って言います!隆弘とは幼稚園からの仲で、まあ幼馴染ってやつっすね。」
「わー、にっしーは幼稚園時代からうるさそう」
「そりゃあもう、元気な人気者でしたよ。バレンタインのチョコの数でお前に勝てる奴はいなかったもんな」
「あはは!モッテモテじゃーん!」
「おーい!俺の話はいーの!ほら、なんか甘いもん食べよ!」
…話に、入れない。
わたし以外は同級生だから波長が合うのか、話が盛り上がっている。
さっきまで2人と仲良く話してたのはわたしなのになぁ。
とか、子供染みたことすらも考えてしまう。
緊張するから隣に座れないなんて言わなきゃよかった。
仲良く話すたかちゃんと宇野さんの姿が嫌でも目に入る。
しかも、すごくお似合いだ。
「Aー?何食べんの?あ、ここはねー、フレンチトーストが美味しんだよね。それ食べる?」
「もう、にっしーそれじゃ佐野さんに選択肢ないじゃん」
「ほんとそれっすよね、隆弘いっつもそうなんだよな」
「だーかーら、俺のことはいいんだってば!Aフレンチトーストでいい?」
「…うん」
わたしはどれだけ嫌な女なのだろう。
楽しい雰囲気に水を差すような態度をして。
でも止まらない、止まってくれない。
宇野さんがたかちゃんのことが好きだってことが伝わってくる。
表情の一つ一つが可愛らしい。
宇野さんは、すごく優しい人だ。
わたしのことも話題に出して、話に入れてくれる。
嫌味なく接してくれる。
なのになんでこんなに胸が痛いんだろう。
分からない。
どうしようにも、できない。
自分の気持ちも、胸の痛みも、何もかもが分からない。
295人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちさき(プロフ) - かたつむりんさん» ご指摘ありがとうございます! (2017年10月19日 19時) (レス) id: 6dce23e467 (このIDを非表示/違反報告)
ちさき(プロフ) - ドリーさん» ご指摘ありがとうございます! (2017年10月19日 19時) (レス) id: 6dce23e467 (このIDを非表示/違反報告)
かたつむりん(プロフ) - オリジナルフラグ外してくださいね! (2017年10月19日 19時) (レス) id: f35d15b5f6 (このIDを非表示/違反報告)
ドリー(プロフ) - オリジナルフラグを外して下さい!運営によって削除される可能性があります! (2017年10月19日 17時) (レス) id: 5e3261a1cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちさき | 作成日時:2017年10月18日 18時