橙色の空の下で。3

#28 ページ2

「好きだな、って思った」



そう。



直感でこの曲好きだなって感じた。





22歳にしては酷く稚拙な感想だけど。




コロコロ変わる曲調に、ストンと心に落ちてくる歌詞。




わたしが好きになるには十分すぎる曲だった。




「そっかそっか、好きかー！良かったー！」




どうやら、わたしの小学生みたいな感想でもご満悦の様子。




あ、そうだった。



この人も小学生みたいな脳内なんだった。




「んじゃあ、俺らの曲で一番好きなのは？どれどれ？」




安心したのも束の間。




ついに来てしまったその質問。




尽く彼のことを避けていたわたしは、AAAのことも全く知らず。



たかちゃんがいるし、最近とても有名になったからAAAの名前は知ってるけれど、テレビで流れてきても避けるように見ていなかった。




嘘は言えないし、素直にいうしかない、よね。




「それがね、」




アルコールが入ると冷静になるんじゃなくて、能天気になれる酔い方できたら良かったのに、なんて思いながら次の言葉を紡ぐ。




「AAAの曲そんなに聞いたことがなくて、だからその、わかんない、です」




せっかく慣れてきたのに使ってしまった敬語。




あーあ、なんて不器用なんだろう。




怖くなって恐る恐る顔を伺ってみると、すごい顔をしていた。




え、あんたそれ本気で言ってんの？



いや、え、嘘でしょ？



みたいな。



顔が気持ちを物語ってる。



いや、ただのアホっぽい顔でもあるんだけど。




でも、絶対選択間違った。




そうだよ。



AAAの曲なら今日聞いてるじゃないか。




Charge&Goが一番好きだって伝えればよかったじゃん。




下手に素直に言うよりも、そう伝えればよかった。




ああ、もう。




自分の未熟さに嫌気がさす。

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