#4 ページ13
なんて失礼なことを考えていたら回ってきたわたしの番。
心の中で、自己紹介するような仕事でもないんですけどね、と苦笑いしながらも、目で早くしろと訴えてくる田端さんの圧力に負けて話し始める。
「あ、はい。お茶出し、ケータリング担当の佐野です。よろしくお願いします。」
「…えっ、お茶出し？お茶ならケータリングにあるんじゃ？？」
目をぱちくりさせながらそう驚く浦田さん。
普通、そういう反応になりますよね。
ケータリングあるのにお茶出し？笑
みたいな。
浦田さん、わたしもそう思いました。
この張り切り方は田端さんの七不思議に追加しようと思ってますから。
って、いけない話がずれた。
「ほら、！今年の夏は暑いじゃないですか。 少しでもお力になりたくて、だからせめて冷たいお茶をだそうと…。」
初めはキラキラした目で語り始めた田端さん。
しかし、次第に語尾が弱くなってる田端さん。
弱くなってたのはきっと、浦田さんが笑い始めたからだろう。
ぶふっ、って吹き出しながら肩震わせてるからね。
浦田さんのおかげで、田端さんはようやく張り切る方向が斜め上に向かっていたことに気づいたようだった。
「ふふ、素敵なお心遣いありがとうございます。
お言葉に甘させていただきますね。」
その言葉に満面の笑みを添えて顔を上げる田端さん。
浦田さんの優しさが従業員全員の心に響いた瞬間だった。
ただ、浦田さんのこの返事によってわたしが彼に会うことが確定してしまった。
浦田さんが断ってくれたらこの卑屈さも少しは消えただろうと思うけれど、ここで結構ですなんて言える強者もいないだろう。
1ヶ月悩みの猶予があったのに、何も整理のついていない心にも、ネガティブにしか考えられない脳内にも嫌になる。
「自己紹介も終わりましたので、打ち合わせを進めたいと思います。」
でも、卑屈さを増すわたしの気持ちに反して打ち合わせは先に進んでいく。
どう足掻いても変わらない未来。
わたしはただ、何事もなく事が進むのを願うしかなかった。
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くま - おもしろかったです。早く続きみたいな (2016年12月27日 13時) (
レス) id: a4e8dfa73b (このIDを非表示/違反報告)
ちなつ(プロフ) - うわぁ、もどかしい！でもおもしろいです！これからも頑張ってください！ (2016年12月27日 0時) (レス) id: 0960116b24 (このIDを非表示/違反報告)
TAKAUNO - うあー！更新されたけどまだ会わない！！このむずむず！すごい更新楽しみです！頑張って！ (2016年12月26日 19時) (レス) id: 5dd8b3e967 (このIDを非表示/違反報告)
たかうの - 早くあってほしいです！更新待ってます！今日更新しますか？してくれたら嬉しいです！ (2016年12月26日 15時) (レス) id: e4077e208b (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - 先ほど、コメントさせて頂きました。こんにちわ。の間違いです。 (2016年12月25日 14時) (レス) id: b00ced6101 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちさき | 作成日時：2016年12月24日 9時
