今宵は月が赤いですね。光ノ章

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支障ないので後半読み飛ばしてもOKです
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『すいません………』


「いいんだよ、疲れているのかな？」


「いえ、丸々二日眠っていましたので」


『しのぶさん……』




どうしても我慢できなかったみたいだ。
私が言うより先に否定された。

私だって寝たくて寝てた訳じゃないのに辛辣。
満面の笑みで私の方を見られた。怖。


自分の中で仕切り直して声を張る。
柱大集合の時ってそれなりに緊張するんよね。




『何でしょうか』


「これからの戦い…、誰が誰と戦うか。
それだけ皆に教えてあげてほしいんだ」


『…誰がいつ死ぬか、話しますか？』


「……そうだね、伝えてあげておくれ」





皆が私の顔を見る。
そうだ、この人達も死んじゃった。



吉原遊郭は音柱と炭治郎達。


刀鍛冶の里は霞柱に恋柱、炭治郎。


最終決戦は無限城。
鬼殺隊の全員が、命を懸けて朝日を掲げた。





声が、震える。


それぞれの戦いを、死する瞬間を、
皆が犠牲になっていくのを話すのは辛くて。



腕を斬られて、片目を失って。

全身を吸収されて、骨1本すら残らなくて。

腕を、足を、手を、胴まで斬り刻まれて。

鬼喰いという苦しみの末、体を両断されて。

顔中に傷を受けて直、後輩を守って。

耳を抉られ、それでも敵に向かい続けて。

足を斬られても、最期まで隊の指揮を取って。



片腕と握力を失い、そんな中でも守り抜いて。

斬られても斬られても諦めずに攻め続けて。



仲間を斬る、その計り知れない辛さを抱いて。

溢れ出る恐怖に打ち勝ち、駆け続けて。

大切なものを捨てて、大切な人を呼び戻して。




繋がれる呼吸で、鬼を殲滅させた。
その中には、燃えるような心も受け継がれて。






それでも、自分の命を捨ててでも、
皆が思うことはたった1つ。


鬼のいない世界を作ること。



死んでほしくない、そんな考えはお門違いだ。
この人達は死ねる覚悟を持っている。

だから絶対に口に出さないつもりだった。




『っ、お願い、生きて下さい……っ！』




なのに、なのになんで。


いつの間にか私は号泣してしまっていた。

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