今宵は月が赤いですね。光ノ章

70 ページ31

◇◆◇




柱合会議が終わり、
宇髄さんに霞屋敷まで送ってもらった。


異常に体格のいい彼と歩けば
沢山の人の注目を浴びて恥ずかしい。

しかもド派手な格好だから尚更である。




『ありがとうございました』


「いいってことよ」




炭治郎達が目覚めるまでは、
私も特に動くようなことはない。

まずはかまぼこ隊の朗報を待つのみ。




『師範……は、いないな』




どこに行ったんだろう。
まだ昼間だし、長期任務の話も聞いてない。

お館様に呼び戻されたりしたのかな。
まぁすぐ戻るだろうし…、待っていようか。









.









「ただいま」


『お帰りなさい、何かあったんですか？』


「すぐに刀鍛冶の里へ向かう」


『え？』




そう言うや否や、
師範はもう出かける準備を始めた。

何か緊急の任務だろうか。

柱たるものよくある事だけど、
こんなに焦ってる彼を見るのは初めてだ。




「里での鬼の出現が疑われてる。
僕と柱二人で向かう事になったから」


『…柱三人も、ですか？』


「うん、それとA、君も覚悟して。
吉原の方でも上弦が出たらしいから、
たぶん君に課す任務が増えると思う」


『ゆ、遊郭もですか！？』




刀鍛冶の里が襲撃されたのは、
あの場所はきっと1度きり。

つまり原作の戦いが始まるという事だ。


でも、時系列が合わないな。
しかも遊郭編が同時に起きている。




「とにかく行くから。戸締りしっかりね」


『は、はい！お気をつけて…！』




焦るな私、まず落ち着かなきゃ。
始めにやるべきは状況の把握だ。

曙光を呼び、詳細を聞いてみた。




『…えっ、煉獄さんが？』


「竈門隊士ノミ里ヘ向カッテイル！」




遊郭へ赴いたのは、
音、風、炎柱に善逸と伊之助。

対して刀鍛冶の里へ行ったのは、
師範と伊黒さんに蜜璃ちゃん、炭治郎。


遊郭に炭治郎がいないのは正直痛い。
痣がなければ倒せないかもしれない。

でも、もしかしたらあるのかも。
煉獄さんが痣を出す、ここだけの話が。




『…私、行かない方がいいのかな』


「サァ」




2つの戦いが同時に開幕する時点で、
私が知ってる【鬼滅の刃】はない。


私がこれまで対応できていたのは
全部その先の未来を知っていたから。

その知識がついえた以上、
大人しくしてる方が迷惑じゃないのかも。




「オ前ニハオ前ノ任務ガアルカラナ、
ソッチヲ優先スベキダト思ケドヨ」


『…うん、そうだよね』

71→←作者より

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す