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◇◆◇
「それくらい分かってるよ」
ニコニコして私を覗き込んできた。
余裕そうに細められた瞳がキラキラしてる。
私は少し何か言われただけで照れちゃうのに、
この人は何をしても全然動じない。
本当に同い年なのかまた疑うところだ。
本当に分かってるのか。
私がどんなに本気で師範を好いているか。
師匠として、同世代として、1人の男の子として、私から湧き出す「好き」が止まらないことを。
「でも、君にはもっと良い人がいると思うよ」
『えっ?』
そっと目を伏せた師範が言葉を繋ぐ。
こんなことを話していても歩く早さは同じ。
私の歩幅にあわせてゆっくり歩いてくれてる。
「僕は覚えていられないし、こんな仕事だし。
君が僕をそういう意味で好きになってくれたなら、悪いけど僕はそれに答えられないよ」
常に死と隣合わせなのは私も同じ。
恋愛をしている場合じゃないのも同じ。
だから師範とどうかなりたい訳じゃないよ。
このまんまの関係で、近くにいたいだけだ。
だけど、少しは夢を見てみたいから。
1つだけ、私のお願いを聞いてください。
『もし師範の記憶が戻って無惨を倒すことが出来た時、私と恋仲になってくれませんか?』
つまりあの戦いで貴方を死なせないってこと。
お互い命を紡いで、一緒に日の出を見ようよ。
もしそんな夢のようなことが私に出来たら。
もし私が私の責務を全う出来たなら。
その時は、私と共に生きてほしいな。
「…いいよ。
その時、僕から言わせてくれるなら」
『勿論ですよ、言ってほしいですもん』
ボイスレコーダーあれば言質も取るよ。
大好きだから、叶えるのは最後にするの。
年の割に大きい手が頭にのせられた。
ゆっくり髪を
「僕もたぶん、君のことが好きなんだと思う」
耳もとに端正な顔が近づき、そっと囁かれた。
息がかかったところから体が熱を帯びていく。
まるで流れる血がその熱さを吸収したみたいに、身体中に甘い熱が巡っていった。
あつい。
先刻もっと恥ずかしいことだってしたはずなのに、どうしてこんなことでドキドキするの。
キスされただけで、告白されただけで、
私の体と脳がどうにかなってしまいそうだ。
夢かと思うほどに、幸せすぎるなぁ。
いっそのこと、私が知る全てが夢だったらいいのに。
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さつむいこん(プロフ) - ハイキュー!!さん» 今日1日で向こう1ヶ月分の喜びを感じた気がします、コメありがとうございます! むいちろくん可愛いっすよね…っ!スーパーエンジェルになってもらえるよう精進します、更新のんびですが見守ってやって下さいな…!! (2021年6月15日 22時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー!! - もう、更新楽しみすぎます!無一郎天使!遊郭に炭治郎いないの痛いですねぇ〜勉強頑張ってくださいね! (2021年6月15日 20時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - 澪凪さん» 澪凪さんっ! コメント本当活力になります、ありがとうです〜! またイチャつかせますので発狂しちゃって下さいね(( (2021年4月19日 23時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 〜〜〜〜〜っ!!ヤバいです可愛すぎて発狂しそう…!! (2021年4月18日 23時) (レス) id: a0ad16ec48 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - 星猫さん» 鬼滅&響け!ユーフォニアム&ちびまる子ちゃん……くらいしかまともに見たことないですね。呪術も気になってるんですが乗り遅れてしまってて(;^ω^) (2021年3月29日 22時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さつむいこん | 作成日時:2021年3月22日 21時