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こぼれた髪をすくって耳にかけてくれた。
首をかしげて私と目線を合わせ、浅葱色の瞳を怪しく細めてニッコリ笑ってる。
不覚にも可愛くて…、カッコいい。
『あ、あのお店美味しそう!行きましょ!!』
「はいはい」
適当に目に入ったお菓子やさんを指差した。
違う、この時代は甘味処って言うんだっけ。
恋柱様が原作でよく喋ってた気がする。
師範の手を引いてお店の暖簾をくぐった。
甘〜い餡の匂いが充満してて思わず唾を飲む。
ハンカチを広げたくらいに小さなお店だ。
よくある赤い布がかかった腰掛けが2つあるだけの本当にこぢんまりした可愛いお店。
「あらあら、これは鬼殺隊のお方じゃないの」
『あれ、おばあちゃん鬼殺隊をご存じで?』
「よぅく知っとるよ。いつもお疲れ様やねぇ」
促されるまま椅子に腰を掛け、
お菓子が出てくるまで暫しの待ち時間。
普段より話してくれる師範とお喋りtime。
どうして道のど真ん中であんなことをしてくれたのか気になって仕方ない私は、師範を質問責めしていく。
「…君が急に変なこと言い出すからでしょ」
『変なこと…?』
「いなくならないで。後追いする。とか」
『あっ』
後追いどころか先に死ぬくらいの勢いだよ。
大好きな人が死ぬ瞬間なんて見たくない。
取り残される寂しさは経験したくない。
だって師範だもん。
死ぬ間際まで自分のことは放置でしょ?
最期だって、役に立つ事しか考えてなかった。
自分を盾に仲間を守る事しか考えてなかった。
そんなの実際に起こってみてよ。
絶対に嫌だ。見たくないし聞きたくない。
「君が何を考えてるか知らないけどさ。
僕も鬼殺隊なんだから、死ぬ時は死ぬんだよ」
『…はい』
「それと、僕は君を庇って死ねるからね」
『え?』
「今後もし共闘して君が死にかけたら、僕はたぶん君より先に死ぬことを選ぶと思うよ」
まぁその時君を覚えているか分からないけど。
なんて小さな声で付け足される。
ぼうっと外の道を眺めながら答えてくれた。
『それはつまり私の為なら』
「死ねるよ、たぶんね」
私の言葉に被せるように返事が返ってくる。
また冗談なのかと思って顔を見たけど、
戦うときと同じくらい真剣な目をしていた。
今まで私が師範にしてきた色んな事、
たぶん無駄じゃなかったんだなと思う。
今日だけ特別なのかもしれないけど、
師範にこんなに言ってもらえるくらいには、
師範の中に私が残ってるから。
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さつむいこん(プロフ) - ハイキュー!!さん» 今日1日で向こう1ヶ月分の喜びを感じた気がします、コメありがとうございます! むいちろくん可愛いっすよね…っ!スーパーエンジェルになってもらえるよう精進します、更新のんびですが見守ってやって下さいな…!! (2021年6月15日 22時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー!! - もう、更新楽しみすぎます!無一郎天使!遊郭に炭治郎いないの痛いですねぇ〜勉強頑張ってくださいね! (2021年6月15日 20時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - 澪凪さん» 澪凪さんっ! コメント本当活力になります、ありがとうです〜! またイチャつかせますので発狂しちゃって下さいね(( (2021年4月19日 23時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 〜〜〜〜〜っ!!ヤバいです可愛すぎて発狂しそう…!! (2021年4月18日 23時) (レス) id: a0ad16ec48 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - 星猫さん» 鬼滅&響け!ユーフォニアム&ちびまる子ちゃん……くらいしかまともに見たことないですね。呪術も気になってるんですが乗り遅れてしまってて(;^ω^) (2021年3月29日 22時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さつむいこん | 作成日時:2021年3月22日 21時