つづき。 ページ46
★★★
「食べていい?」
『…うん』
私の額に無一郎の髪がなびく。
少しくすぐったくて、だけど心地いい。
「へぇ、更に進化してるね。さすが」
『私のウデ舐めてくれてありがとね』
【当たり前だよ?頑張ったんだもん!】
【無一郎の為に頑張って作ったんだよ】
そんな可愛い事がどうして言えないの。
こんな憎まれ口じゃ何も変わらないのに。
「舐めてないよ、毎年美味しいし」
『……そう』
私の横に座った無一郎が、
スノーボールを1つ口に運んだ。
「やっぱりA、料理上手いよね」
『…べつに』
「誉めるかけなすかどっちが良いの?」
誉める方に決まってるじゃん。
お世辞でも嬉しいよ、そんな言葉。
「ねぇ、来年もほしいなぁ」
『…いいよ、適当に作るから』
「そうじゃなくて」
空になった包みを丁寧に折り畳み、
持ってきていた箱に入れた無一郎。
箱と袋を脇において、私の方を見た。
「Aさ、何人くらいに渡したの?」
『えっと……………13人、くらい?』
「男にもあげた?」
『うん、数人だけだけど』
有一郎に錆兎、炭治郎&善逸先輩、伊之助。
まぁ別に有一郎はいつもの事だが。
「僕と同じやつ?それ」
『うん、女の子も皆同じ中身だけど』
「そっか。じゃあお願いしたいんだけど」
『何?』
「来年の僕のチョコ、特別にしてよ」
『とくべつ?』
「バカ」
無一郎の細い指が私の頬をつまむ。
軽くつねられ、思わず変な声が出た。
無一郎の顔が先刻よりも赤くなってる。
パチッと目が合った。
「ほんっとにバカ、大バカ」
『バカバカうるさいよ!』
「もう救いようのない鈍感」
『どこが!』
「そういう所が鈍感なんだけど」
はぁ、とため息まで吐かれた。
浅葱色の瞳に私の間抜け顔が映る。
綺麗な目が少しだけ揺れた。
「僕、Aが好きなんだ。ずっと」
『はっ?』
顔に熱が集中するのがバカでも分かる。
無一郎の顔もほんのり赤く染まってく。
夕焼けだ、夕焼けのせいだよね、きっと。
「チョコを貰う前からずっとね」
『え、私初めてあげたのって…』
「小3の時にチ◯ルくれたよ」
『あぁ、コーンスープ味のな…』
「あれより前からずっと好き」
じっと見つめられて動けなくなる。
児童公園には私と無一郎の2人だけ。
「ねぇAは僕の事、どう思ってる?」
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さつむいこん(プロフ) - 楪日織さん» もう26位まで落ちてるわ…、見たかったな。忙しいのにわざわざ報告ありがとう〜! (2021年7月1日 21時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - 鬼滅タグランキング今1位だよすごい……!おめでとうさつむいこん!! (2021年7月1日 20時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - ハイキュー!!さん» 私にとってはハイキュー!!さんが優しすぎて尊いです。ありがとうございます! (2021年6月15日 22時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー!! - 尊さの塊ですね! (2021年6月15日 19時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki(プロフ) - さつむいこんさん» こちらこそ!これからも頑張ってください!応援してます! (2021年5月28日 16時) (レス) id: d652f69505 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さつむいこん | 作成日時:2021年2月7日 8時