今宵は月が赤いですね。霞ノ章

37 ページ41

◇◆◇




いつの間にか私は寝てたみたいだった。
起きたら夜で、布団でぬくぬくしてた。




『ふあぁぁ』



昼夜逆転生活にも程があるな！！！
っていう芸人のツッコミが聞こえてきそう。

……なかったっけ、こういうの。
【◯◯にも程があるな！！】って形式。




『鬼殺隊は体に悪い仕事だなぁ……』




まぁ鬼の活動時間からして仕方ないけどさ。
特に柱とか毎日忙しいしね、いつ寝てんだろ。
兄貴とか夜間警備めっさ長いしな。


なんか色々ボーッと考えてたけど、
これ以上ゴロゴロする訳にもいかないので、
大人しく着替えて食卓へ向かった。









『お腹すいたぁ…』


「おはようございます、Aさん！」


『おはよぉ…』




寝ぼけ眼を擦りながら席につく。
既に兄貴とむいくんは食べ始めてた。
いや、私も呼べよ。起こされたら起きるから。




「ご飯、白飯か薩摩芋ご飯かどちらで？」


『普通の白い方…』




白いご飯にふりかけをかけるのが好き。
いわばふりかけご飯、特に高菜。
つまり高菜飯とかいうものが好物である。

ちなみにこの好みは令和の頃から変化なし。
給食の高菜飯美味しかったな、わかめご飯も。




『わぁ、さすが千寿郎くんじゃんか……』


「ふふ、大好きですもんねAさん」




白ご飯には既に高菜漬けが載せてあった。


千寿郎くん自ら漬けてくれるこの高菜漬け。
ちょっとピリッとしてて美味なのです……。




『いただきまーす』


「たくさん食べて下さいね」




千寿郎くん、ほんとにマメだね。
食事が人ごとに全然違うんだけど。


兄貴は薩摩芋ご飯に薩摩芋のお味噌汁。
むいくんはふろふき大根とお吸い物。
私は高菜ご飯と鮭のあら汁。




『美味しいぃぃ……！！』




声に出ちゃうくらいの美味しさ。
どこぞの寿司やさんみたいなあら汁なんだが。




「……」


「うまいっ！うまいっ！！わっしょい！！！」




美味しいと騒ぐ人⇒煉獄・A
美味しいと黙る人⇒無一郎


可愛いのは絶対的後者である。
大根乗ったお皿もって目キラキラさせながら食べてるむいくん可愛すぎかて。




『おはようございます、霞柱様』


「……」


『鬼殺隊丁(ひのと)、Aです。
訳あって炎柱様の家でお世話になってます』


「……へぇ、そう」




兄貴が目をパチパチさせて私たちを見る。
可哀想に思われてるみたいで寂しいなぁ。
別に傷ついてるわけではないんだけど。


むいくんの記憶が戻るのを知ってるんだから。

38→←36

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す