34 ページ38
◇◆◇
弐ノ型は細かい斬撃が特長だから、最大限に活かす為、素早く動き回らなきゃいけない。
だけど今回は100%身を守るだけだから、
あえて立ち止まって斬撃をうねらせてみた。
「盛炎のうねり」っぽく。
「……ねぇ君、いいの?もう朝だけど」
むいくんはことごとく空気を読まねぇ。
ねぇ見てたでしょ私の技。誉めてよ讃えてよ。
抗議の意を込めて睨みつけてやった。
『まぁいいや。猗窩座、また会おうね』
「あぁ、また会う時には真っ向から戦おう」
そんな言葉を残し、猗窩座は森へ消えた。
こんなの本当なら隊律違反だしな、
改めて皆よく許してくれたよね。
汚いかもしれないけど、とにかく終わった。
炎柱は傷1つついていない。まだ戦える。
「煉獄さんっ……」
「なんだ!竈門少年!!」
『霞柱様!』
「何」
炭治郎のマネしてむいくんを呼んでみた。
いいや、どうせ忘れられるんなら。
「ちょっ、何するの…!」
『へへ、お疲れさまでした!』
固くてガッシリした身体に飛びつく。
腕いっぱいに力を込めて抱きしめてやった。
『えっ!?』
「…煩い」
頭と腰に温もりが感じられたと思ったら、
ぎゅっと抱き寄せられた。苦しいくらい。
耳にキレイな髪が触れてくすぐったい。
「ねぇ」
『はい?』
「…僕の刀、早く取ってきて」
『…あっ』
すっかり忘れてた。
ムードもくそもないなこの人、期待したのに。
仕方なく取ってきたら、炭治郎が泣いていた。
声を上げて、兄貴の胸にしがみつきながら。
兄貴の大きな手が炭治郎の背中に回される。
「もうそんなに泣くんじゃない」
「すみませ……でも…」
「君はまだ若い。いくらでも強くなれる。
この思いを明日への活力へ変えるんだ。
心を燃やせ。前を向け。
君にしかできない、君だけの責務を全うしろ」
物語が1つ、変わった瞬間。
『お疲れ〜。また蝶屋敷行くからね』
「胡蝶さんに叱られない程度にな…」
「お、お前、これなんだ!すっげーぜ!!」
『花火って言うんだよ〜。残りもあげるよ』
皆無事だ。誰1人、死なずにすんだ。
守れたんだ、最愛の人達を、この手で。
改めて実感して分かった、命の重さ。
私は本当に皆が大好きなんだ。
「……A」
『なんですか〜?兄貴』
「すまなかった」
金の髪が風に揺れる。
私に向かって、兄貴が頭を下げていた。
114人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さつむいこん(プロフ) - 楪日織さん» もう26位まで落ちてるわ…、見たかったな。忙しいのにわざわざ報告ありがとう〜! (2021年7月1日 21時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - 鬼滅タグランキング今1位だよすごい……!おめでとうさつむいこん!! (2021年7月1日 20時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - ハイキュー!!さん» 私にとってはハイキュー!!さんが優しすぎて尊いです。ありがとうございます! (2021年6月15日 22時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー!! - 尊さの塊ですね! (2021年6月15日 19時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki(プロフ) - さつむいこんさん» こちらこそ!これからも頑張ってください!応援してます! (2021年5月28日 16時) (レス) id: d652f69505 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さつむいこん | 作成日時:2021年2月7日 8時