今宵は月が赤いですね。霞ノ章

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むいくん、こわい。

腕を組んで私を見るその目、
炭治郎と里で喧嘩したときの目だ。

私のなかであのむいくんが１番怖い。
ちょっと顎上げて睨んでくるやつ。




「そうだ、お腹すいてない？」




お医者さんが話しかけてきてくれた。
やばい、回りにお花が咲いてる……。




『空いてます凄く！！昨日の夜からおにぎりしか食べてないんですよ！』


「おっ、ちょうど良かった」




隣の部屋から出してくれたのは。


『いちご大福だーーっ！！』




食べ損ねたいちご大福だった。
しかも高級そうなやつ。箱でわかる。




「どうぞ、持っていって下さい」


『いいんですか！？』


「沢山あって余ってるんだ。
美味しいと思うよ、１つ食べる？」


『はい！』


「いや時間ないんだけど」


『食べましょ！もう朝ですから！』




理由にならない理由を盾に、
遠慮の欠片もなく大福を頬張った。




『んっ、ちゃんとつぶ餡…っ！』




めっちゃ美味しい。
熱いお茶も体に染み込んでく…。



『なーんだ、食べてるじゃないですか』


「…食べないと失礼だから」




知ってるもん。
ずっと横目で盗み見してたから。

凄い美味しそうに食べてたじゃん。
めちゃ可愛かったよ。




『ふふっ』


「何笑ってるの気持ち悪い」


『ついてますよ、あんこ』


「っ！？」




ふんわり袖でゴシゴシするむいくん。
取れてないよ、逆側だよ。




『ここです』




懐紙を出して拭いてあげた。
指で取ってあげたかったけど自粛。




「……馬鹿」


『今の馬鹿は理解不能です！』


「…存在が馬鹿」


『え、失礼すぎません？』





なんだよこの差は。
私だって先生と同じ人間だよ？

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