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◇◆◇




お館様がむいくんに向き直った。
むいくんの背筋が伸び、声が響く。




「…僕は、お館様のご意志に従います」


「ありがとう、無一郎。
行ってくれるかい?杏寿郎と共に」


「御意」




むいくんが軽く頭を下げる。
空気が重くなるのが分かった。


私が一方的に押しつけたのに、
むいくんは既に準備体制に入る。

私に、鬼の情報を聞いてきてくれた。




『十二鬼月が2体出現しますが、下弦の1体はそれほど心配しなくて大丈夫です。問題はその後に出る、上弦ノ参です』


「…僕はそいつから皆を守ればいいの?」


『いえ、むしろ派手には戦わないで。
私が気を引くから適当に止めて下さい』


「君に倒せるの?」


『…今は誰も奴を倒せません。
みんなの命を繋ぐことが第一なんです』


「それが許されるとでも思ってるの?」




むいくんの目が一気に冷たくなる。
初対面の時と似た、光のない瞳。

信じられない。
とでも言いたげなそれは、大きく見開かれた後鋭く爛々としたものに変わった。




『お館様に許可を頂いていますから』


「……今のは、本当ですか」




お館様が悲しそうに微笑んだ。
ゆっくりと目を伏せ、静かに頷く。




「ああ。分かってくれるかな、無一郎」


「分かりません」




お館様の声を遮るように声が被さる。
相当怒っているんだろう。
顔の血管が薄く浮き出していた。




「鬼を滅する鬼殺隊ではないんですか?
上弦ともなれば人的被害も甚大、一刻も早く倒さねば何百人もの命が奪われる」




無感情で起伏のない声が怒気を纏い、
話す速度も格段に上がる。

ふと、私に顔が向けられた。




「君、鬼殺隊員なんだよね」


『はい』


「隊士としての自覚はないの?」


「無一郎、その子は転生者なんだ。鬼殺隊の未来を変えようとしてくれているんだよ」


「だったら何なんですか」




ここまでお館様に楯突く柱は、
若かりし不死川さん以外見た事がない。

正座していたむいくんは、いつの間にか立ち上がって真っ直ぐ私達を睨んでいた。




「転生者だから?異世界者だから何?
それどうこうより先に隊員としての自覚を持ちなよ、何のために鬼殺隊があるの?」


『……鬼を倒して人を守る為、です』


「分かってるんじゃん。
ならまずはそれを全うしたらどうなの」




正論すぎて何も言えない。
怒られるのなんて当たり前だ。

この人達は、隊士の皆は。
いつでも死ぬ覚悟が既にある。
私がしてるのは、それを踏み潰す事だから。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎 , 市販書き(二次創作)   
作品ジャンル:アニメ
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さつむいこん(プロフ) - 楪日織さん» もう26位まで落ちてるわ…、見たかったな。忙しいのにわざわざ報告ありがとう〜! (2021年7月1日 21時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - 鬼滅タグランキング今1位だよすごい……!おめでとうさつむいこん!! (2021年7月1日 20時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - ハイキュー!!さん» 私にとってはハイキュー!!さんが優しすぎて尊いです。ありがとうございます! (2021年6月15日 22時) (レス) id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー!! - 尊さの塊ですね! (2021年6月15日 19時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki(プロフ) - さつむいこんさん» こちらこそ!これからも頑張ってください!応援してます! (2021年5月28日 16時) (レス) id: d652f69505 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さつむいこん | 作成日時:2021年2月7日 8時

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