【肆頁】炎の男 ページ4
〇
視点無し
─────外した。
炎の虎を纏い、突き出した剣に手応えは無かった。気付けば、標的は子供を抱え再度水の中へ潜っていた。その光景を見て、望まぬ来訪者は心の中で眉間を顰めた。
(……嗚呼やはり、唯の鬼か)
(子供を溺死させる気だろう、愚かな)
(人を害さない人魚の鬼……そう聞いていたが、所詮は世迷いごとか)
金糸に紅髪。
朱の瞳は夕焼けの色。
彼の者───·····炎柱 煉獄 杏寿郎という。
人を喰わない人魚の鬼
いつからだろうか。
鬼殺隊内で密かに話題になっていた、陽の光を克服した稀有な鬼。偵察役の鴉を寄越しても、何とも友好的に接する。鴉が二匹居た事情は、万が一偵察役の鴉が殺されても偵察を続けられるように。そもそも、飛んで逃げる事も出来るからだ。
けれども……平行線を辿るかと思っていたその調査に、ある一人のイレギュラーが混入した。
そう、陽太の存在だ。
安全かどうか確約されていない鬼の元に子供が近付くなど、スズメバチの巣を持って興奮した子持ちのヒグマから逃げるような物だ。早急に今回の件に準じた階級の隊士を組んだ。しかし、何とも不思議な事に人魚の鬼は変わらず友好的に接してみせたのだ。
しかも、来訪を楽しみにしているような素振りも見せた。
だが、イレギュラーなんぞ幾らでも転がっている。何か起きてからでは遅いと、平隊士達の他に万が一に備え炎柱の杏寿郎が調査に抜擢されたのが今回の件の成り行きである。
しかし……もう結末は、決まっている。
(与えられた選択肢は、二択)
(可能であれば捕獲、場合によっては殺害)
(しかし……この様子だと、決まりだな)
(さぁ、人魚の鬼)
(お前はこの俺───煉獄杏寿郎が、成敗してみせる!!)
【間】
夢主視点
何何何、何なのアレ……!!
反射的に潜ってしまったが、多分今まで生きてきた中で一番死を身近に感じた。チラッと刀が見えたけど、アレに斬られたら一瞬で首が飛んでいただろう。
とにかく。
陽太を、この場から逃がさなければ。
男とは反対方向に泳ぎ付き、陽太を陸に上げた。そして何か言わせる前に、身体を押して走って逃げるように指で麓の方角を指した。
逃げて。
逃げて。
逃げて。
頼むから、逃げて。
陽「人魚さん…でも……!」
『ギュア!(逃げて!)』
陽「駄目だって、殺されちまうって!」
『ギュアァッ!!(逃げろっつってんだろうが!!)』
……君だけは、せめて。
そう訴えかけるように、私は態と怖い顔をした。
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賽ノ目 アカリ(プロフ) - 楓さん» ありがとうございます!(o*。_。)o (2022年6月12日 20時) (レス) id: d0b76ddb34 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 頑張って下さいね!応援しますね! (2022年6月12日 20時) (レス) id: 12ed8e5001 (このIDを非表示/違反報告)
賽ノ目 アカリ(プロフ) - 楓さん» ごめんなさい、すぐ外しました!今後このような事が無いよう努めさせて頂きますm(_ _)m (2022年6月12日 20時) (レス) id: d0b76ddb34 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - オリジナル作品を消してくださいね!ルールですから。 (2022年6月12日 20時) (レス) @page5 id: 12ed8e5001 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:賽ノ目 アカリ | 作成日時:2022年6月12日 19時