【佰捌拾参】蝶達との別れ【紫】 ページ23
夢主side
最初の別れは、しのぶだ。
し「杏華さん……」
『楽しかったねぇ』
し「……!」
『いっつも無茶をして、君によく迷惑をかけてしまっていたけど……とても、楽しかったよ。
…ありがとう、しのぶ』
─────杏華さん
─────貴方が姉さんの友達?ふぅん…何だか強そうね
私はしのぶ、聞かされてると思うけどカナエ姉さんの妹よ
…よろしく
─────お待ちになって、杏華さん♡(クソデカ注射器を引っ提げながら)
─────……優しいですね、貴方は
しのぶ。
私の、大切な友達。
友人の中では一二を争う程付き合いが古くて、何でも言い合える仲。
その花の咲くような笑顔がとても愛おしくて、でも素のつっけんどんな対応も可愛くて。
……どうか、君には生きて欲しい。
これは、私のただの身勝手な願いだ。
けれど……一つだけ、言わせて欲しい。
『死なないで』
し「────!」
息を呑む声が、聞こえた。
……ここから先は、もう何も干渉出来ない。
出来る限りの事はやった、せめて未来を変えられるようにと。
けど……どれだけお膳立てをしても、起こってしまう物は起こってしまうのだ。
けれど…けれどね。
『これは、ただの我儘だ』
『……あの夜の事、今でも覚えてる』
遥か昔、見てしまったのだ。
月が照らす部屋の中、紫の液体が入った瓶を静かに呷る彼女を。
その光景は、酷く蠱惑的で……そして、美しく感じてしまったのだ。
知っていた、原作を見ていた。
だけど、そんな物など関係無かったのだ。
一種の芸術品のようなものを感じ…思わず、しのぶに話しかけてしまったのを覚えている。
─────…覗き見とは感心しませんね、杏華さん
────何を……してるんだい?しのぶ
それじゃまるで……
─────……えぇ、貴方の言いたい事は分かっていますよ
────!
─────きっと……この身体は、姉を傷付けた鬼への復讐として、文字通りの特攻薬となる
……それとも、止めてくれますか?
────止めないよ
──────…は?
────それが、君の決意なら私は何も言わない
……だから、止めない
─────全く、貴方は────
し「酷い人ですねぇ」
しのぶの言葉が、あの時のしのぶと重なった。
笑っている筈なのに、泣いているように見えるしのぶと。
『私は止めない、でも背中は押さない。
それでも……早くに仲間が増えるのは、嫌だから』
し「…全く、酷いお人だ」
その言葉が"呪い"となる事くらいは、私もしのぶも理解している筈なのに。
だから私は、今日もしのぶを縛るのだ。
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花陰 桜(プロフ) - 紗那さん» 初めまして、コメントありがとうございます!私もそこは気合いを入れて書いたので嬉しいです!割と短めですが、モノローグとして現代編も入れる予定なのでお楽しみに!(ふんすっ) (2022年1月31日 19時) (レス) id: f28080f41d (このIDを非表示/違反報告)
紗那(プロフ) - 初めまして、とても素敵なstoryでお気に入りです!!一人ひとりの別れでは泣いてしまいました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`) このまま現代編に続いて欲しいです(^^) (2022年1月31日 0時) (レス) @page50 id: 651dd4d3c6 (このIDを非表示/違反報告)
花陰 桜(プロフ) - いちごマカロンさん» 嬉しいコメントありがとうございますm(*_ _)m (2022年1月23日 22時) (レス) id: f28080f41d (このIDを非表示/違反報告)
いちごマカロン - 面白すぎて一気読みしました!!やばい、小説読んでマジで泣いたのこの作品が初めて、、、新しいエピソードが毎回流される。 (2022年1月23日 8時) (レス) id: 8d57d47a4b (このIDを非表示/違反報告)
花陰 桜(プロフ) - まっひーさん» ワーイ(*´ω`*) (2021年12月2日 18時) (レス) id: f28080f41d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花陰 桜 x他1人 | 作成日時:2021年9月18日 18時