【鬼滅の刃】ねぇ、守れたよ【肆】

【佰捌】なりそこない。 ページ8

side無し

姫柱 愛宮 桃音が失脚した。

件の炎柱の件で色々と混乱状態にあった鬼殺隊にとって、それはある意味で最も暴力的な報せであった。
噂好きな人間は多い。
それは良い意味でも、悪い意味でも、だ。

少し火を付ければ、後は勝手に燃え広がって行く。

その癖姫柱は件の炎柱との因縁や、隠への暴言、敵前逃亡etc…。

色々ときな臭い噂も多い。
火に油を注ぐどころか油に油を傘増ししていく彼女の噂は、さぞよく燃えるであろう。
そして姫柱はその可愛らしい顔立ち(厚化粧)や高い声(作った声)とは裏腹に、大分口が悪い。

特に機嫌が悪い時は酷く、話しかけて二言目には公衆の面前で堂々と暴言を吐かれたという伝説もあるくらいだ。

とにかく後先考えない行動が多く、言い訳も見苦しい物が多い。

その癖罪の擦り付けだけは上手いのだから、本当に救いようが無い。
…と、いうのが大体の鬼殺隊に所属する平隊士の評価だ。

面白がって姫柱に味方する者もいたが、所詮は井の中の蛙。

そんな訳で、【柱とは思えない程浅慮で稚拙な女】というのが鬼殺隊内での専らの評価だ。
そんな中で起こった明確な失脚。

聞けば、鬼殺隊の当主たる人物産屋敷輝利哉自身から失脚を命じられたというのだ。
姫柱は常日頃から隊士の手柄を横取りしていたらしく、横取りした分を引けば到底柱に届くものでは無かったというので、正式に失脚が決まった。

除隊という訳ではなく、また癸からやり直すらしい。

まぁ、それが妥当であろう。

実際彼女は入隊したての癸の隊士にも劣るほど弱い。
これでよく生き残れた物だ。
まぁ逃げ・味方を盾にする・民間人を餌にする等の行動を恥ずかしげもなくやっていればそれも当然か……。

そして、やはりこの話題のもう一人の中心人物は皆大好き餌付け柱こと煉獄杏華であろう。

本人の証言によれば、『柱でもなんでもないのにまるで自分だけの世界のようにいつも振舞っていた。
合わせなければ手柄を奪われた隊士に被害が行くから、皆下手に口を出せなかった』……らしい。

彼女自身訳の分からない言いがかりを付けられる事も多く、内心辟易していたという。

噂によれば、彼女が死闘を繰り広げていた際鬼が毒の血鬼術を使わない鬼なのにも関わらず猛毒に侵されていた事も姫柱が関係しているとか何とか……。

兎にも角にも、姫柱は失脚した。

これは確かな事実だ。




噂好きの隊士達を上手く利用した、秀逸な戦略とも言えよう。

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