【佰弐拾捌】豪炎の虎達。 ページ43
夢主side
『ッ……!!』
目の前で焼き切れた血鬼術の枝に困惑しつつ、その轟くような熱量に思わず一歩下がった。
虎が消え、綺麗に着地してきたのは───、
『杏寿郎…!父上……!』
これからも大切にしていこうと誓った、愛しい家族達であった。
と、そこら辺で限界が来たようだ。
足先の力が抜け、ガクリと項垂れる。
千「姉上ッ!」
だが、間一髪で千寿郎が受け止めてくれた。
彼の肩を借りながら、家の中に下がり動向を見守る。
私が驚いたのは、勿論二人が間一髪で救援に来てくれたこともある。
けれど、それ以上に────槇寿郎さんの膨れ上がる殺気を感じて……標的でも何でも無いのに、純然たる【命の危機】を感じたのだ。
それを裏付けるように、杏寿郎は「姉上、ご無事で何よりです!」「千寿郎も、よく耐え抜いてくれた!」とこちらに言葉を掛けているのにも関わらず、槇寿郎さんは全くの無言のままだ。
……不覚ながら、久しぶりに命の危機を感じた。
思えば無限列車編以来の感覚だ。
葛「くそ、いいところであったのに…!だが丁度良い、この機に乗じてお前達も……「何を、している?」……は?」
不意に、無言かつ真顔だった槇寿郎さんが初めて口を開いた。
真顔ではあるが、確かな怒気を孕みながら。
槇「俺の大切な家族達に、
何を、している?」
その時、私は──────彼の後ろに炎を纏った虎を幻視した。
今までの酒に溺れた彼ではなく、間違いなく【柱】としての彼として、その燃えるような怒りを巡らせているのだ。
『父上……』
槇「……遅くなって悪かったな」
千・『「!!」』
……嗚呼、やっぱり。
今世、この人が父親で……本当に、本当に、良かった。
ならば私は、本当の意味で彼を許そう。
正真正銘、この人の娘として。
『…ならばやれますかい?元炎柱殿』
槇「あぁ、無論だ。
今までの汚名、晴らしてみせよう」
元炎柱らしい気迫と雰囲気で、静かに日輪刀を構える槇寿郎さん。
もう二度と、彼を酒飲みの亭主として馬鹿には出来ないだろう。
実際軽蔑していた時期があったのは否めない。
否めない、が……。
己の娘と息子を守る為、再び立ち上がった彼をどうして馬鹿になんて出来ようか。
槇「遅れを取るなよ、杏寿郎!!」
煉「無論です、父上!!」
息を深く吸う音が、同時に響く。
煉・槇「「奥義 煉獄!!」」
父と息子、一度は離れた二人が今再び煉獄として焔を巻き起こした。
火花が舞い、絶叫が響き渡る。
確かに微笑んだ私は、身体の限界を感じながら───静かに意識を失った。
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茨の谷の第二王子 - すみませんw私あんまり優しくないのでのところでどこぞの糞カラs((ン"ン"学園長を連想してしまったw誰か僕を○してくれw (2022年2月18日 15時) (レス) @page28 id: 436e3086c5 (このIDを非表示/違反報告)
花陰 桜(プロフ) - 澪凪さん» ありがとうございます(*´ω`*)無事に治って良かったです! (2021年8月13日 18時) (レス) id: f28080f41d (このIDを非表示/違反報告)
花陰 桜(プロフ) - さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き)さん» 私も大好きです…!皆で酒盛りして欲しかった……(願望) (2021年8月13日 18時) (レス) id: f28080f41d (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 風邪治ってよかったです!!お体には気を付けてくださいね!<(_ _)> (2021年8月13日 16時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き) - 家族思いで本当は優しい渋くてカッコいい槇寿郎さん素敵! (2021年8月13日 16時) (レス) id: c50ca7ded5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花陰 桜 | 作成日時:2021年7月24日 18時