【弐拾捌】幸せが壊れる時には、 ページ36
【血の匂いがする】
【そんな事、知りたくなんて無かった】
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夢主side
それは、突然だった。
急遽入った任務を弟達の為に秒で終え、助けた人達に惜しまれながら帰路についた時だった。
疾風「杏華、杏華!!」
不意に、慌てた様子の疾風が肩に留まった。
普段は冷静な疾風の慌ただしい様子に思わず眉根が寄る。
どく、と心臓が一つ脈打った。
『…どうしたんだい?疾風』
何故だろう、何か、嫌な予感、 ガ、
『訃報!訃報!!煉獄槇寿郎ノ妻、煉獄瑠火の訃報ーーーーー!!!!!』
『──────は、?』
口から零れ落ちた言葉は、それだけだった。
目の前が暗くなり、冷や汗がアホな程に噴き出す。
疾風の尋常ではない様子から、それが真実だとはっきり悟ってしまった。
…………悟りたくなんて、無かった。
『……ッ!!!!!』
疾風「杏華?!」
任務で傷んだ身体に鞭を振るい、地面が大きく揺れるほど地を大きく蹴った。
ゴキ、と衝撃で足首の骨が折れる音がした。
だが、そんなもの構うものか。
痛みすら思考の外だった。
音は、私の激しい呼吸音しか聞こえなかった。
───────それとは別に、はらわたが煮えくり返りそうな程濃い血の匂いが意識をこじ開け侵入してきたが。
『ッ…!!』
ギリ、と唇を噛み締める。
強く噛み過ぎて顎から首筋にかけて血の筋が出来た。
『うぅ…!』
瑠火さん、瑠火さん。
『母上…!!』
ねぇ、そんなのあんまりじゃないか。
今日なんだぞ、母の日って。
酷すぎるよ、そんなの。
杏寿郎や千寿郎もとても楽しみにしてたんだぞ。
千寿郎に至っては、まだ幼いのに渡す時の心のこもった言葉さえ考えていたんだ。
酷すぎるよ、瑠火さん。
ねぇ、ねぇ。
母上──────ッ!!
そこから先は、あまり覚えていない。
ショックが大きすぎて、記憶に蓋がされたんだ。
気付いたら、私は冷たくなった瑠火さんの手を握って項垂れていた。
泣きじゃくる杏寿郎と千寿郎の声が何処か遠く聞こえる。
医「……数刻前、路地裏で血まみれの状態で発見されました。
死因は刃物による出血多量…出血が酷く、ここに来た時にはもう…………」
……違う。
どうして。
原作の瑠火さんは、病死だった筈だ。
だから私も、少なからず覚悟は出来ていた筈なのに。
私は医者では無い、彼女の病気を治すなど無理だった。
そんな都合のいい話など存在しない。
でも、なぁ、おい。
こんなのって、無いだろうよ。
……酷すぎるよ、カミサマ。
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むむ - 下の[ ]の所とても好きです! (2022年8月23日 8時) (レス) @page26 id: 7c3c18ba97 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア☆姉貴 - 花陰 桜さん» そうですよね、、、、、でも、、、こうでもしないと他にどうしたらいいのか分からないので…………。(((^_^;)m(__)m(T_T)毎日凄く淋しいです…………。(T_T)m(__)m (2021年6月22日 22時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
花陰 桜(プロフ) - シルビア☆姉貴さん» はい、頑張ります!紹介の件は…ごめんなさい、それについては普通に個人情報を乗せること(規約違反)になってしまうので……私の口からは話すことが出来ませんm(_ _)m (2021年6月22日 20時) (レス) id: 86361137d0 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア☆姉貴 - 花陰 桜さん» その時は、コメントで知らせて下さいね!!!!待ってます!!!!(^o^)v(*^^*)(^ω^)それと、、、お願いなんですけど、、、親戚・知り合いとかに彼女募集中の独身男性が居たら紹介して欲しいです!!!!本当にお願いします!!!!!!! (2021年6月22日 19時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
花陰 桜(プロフ) - シルビア☆姉貴さん» 本当にごめんなさい…。またある程度慣れたら合作にも手を出して行きたいと思いますm(_ _)m (2021年6月22日 16時) (レス) id: f28080f41d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒影 | 作成日時:2021年6月13日 21時